◆◆◆ UBUDでバリ伝統絵画制作を体験したい ◆◆◆
2002年4月11日作成

奇特な方もいるんですねー。習ってどーするんですか?

ま、いいか。そういえば、アタシもどこかに、『目的のある旅は充実する』などと書いた記憶もあるしなあ。
旅であっても、何かに挑戦するというのは、やらないよりはいい。
踊りは疲れそうだし、ガムランは眠くなりそう。バティツクは金かかりそうだし・・・なんで、
消去法で、結局バリ絵画を習ってみようというのが残ってしまったアナタ。
バリに旅立つ前に一読すると、いいことあるかも??

以下、デワ ラバ氏画

◆◆◆ まず、基本的な事を知っておきましょう ◆◆◆

バリ人の描く絵画のほとんどは、アクリル画です。
アクリル画というのは、アクリル絵の具を使います。
アクリル絵の具の特徴は、水彩絵の具のように、水で溶いて使う事ができますが、一度乾燥すると、油絵の具のように乾き、退色したり、水に濡れたりしても、絵の具が溶け出したりしないのが特徴です。

油絵の具とどう違うのかというと、油絵の具は、絵の具を薄める時に油を使いますけど、アクリル絵の具は、水を使って薄めますので、短時間に絵の具が乾きます。

油絵の具の場合、カンペキに乾燥するまでに、一ヶ月かかる色もありますし、バリ島の熱帯の気候で、急激に乾かすとひび割れたりしてしまい、完成度が落ちてしまう事もあるのです。

そして、油絵がバリ人に適さない最大の理由は、『油の値段が高いから』ということですね。

絵の具の値段は同じ位だと思いますけど、油(ペインティングオイル)の値段は、メチャクチャ高いです。

ですから、アクリル絵の具を使っている人が多いというのは、

●水で薄められて手軽
●油のコストを節約できる
●早く乾く

という三点が、多くのバリ人に受け入れられたという結果だということです。

◆◆◆ アクリル画は、何に描くのか ◆◆◆

ギャラリーなどに売られている多くの絵は、カンバスの場合もありますが、貧乏画家は、紙に描いている人も多いです。

UBUDの土産物アートのギャラリーは、粗悪な紙に描かれた小さい絵も沢山並んでいます。

日本では、アクリル画用の紙というのも売っています。
バリでも売っていましたが、お高かったです。
アクリル画用のカンバスというのもありますね。

バリ島では、
●木枠に布を張り
●自分で下塗りをしてから、
●エンピツで下書きして、
●アクリル絵の具を薄く重ねていくという方法

が主流じゃないかと思います。(アタシは習ったことはないもんで多分です。)

ですから、絵を習いたいと申し出た時には、必ず、何に描くのか聞かれます。

紙も、普通の紙なのか、アクリル用の紙なのかによって、描き方が違うかもしれませんし、カンバスに描くのには、それなりの準備も必要となるからです。

また、絵の材料をどうするのかも聞かれます。モチロン、アナタが自前で用意するのがベストです。理由は、バリ人に買いに行ってもらったりすると、メチャメチャ高い値段で売られたりする可能性もあるのです。素人と思って、甘く見られると、そういうこともあるんで、自分のことは、自分でやりましょう。

◆◆◆ まず最初に、何を考えればいいのか? ◆◆◆

それは、『どんなスタイルの絵を習うのか』を決めるということです。

ガイドブックでは、バリ島の絵画のスタイルを解りやすく説明してくれています。

立ち読みでもいいので、まず、バリ島の絵画のスタイルについて知識を持ちましょう。

そして、自分が、どのスタイルに近い絵を描いてみたいのかを決めましょう。

バリで絵を習う場合には、『どのスタイルにするかを決める。』これが第一歩です。

◆◆◆ 自分に描ける絵なのかどうか? ◆◆◆

次に、アナタが、習おうと決めたスタイルが、自分に描けるかどうかを考えます。

たとえば、UBUDスタイルのような、伝統的な絵(細密画系)は、完成までに3ヶ月もかかる場合もあるのです。

ヤングアーチストスタイルとか、ポンゴセカンスタイル(左の写真のような鳥と植物の絵)は、新しいタイプの画風で、比較的短時間で仕上げる事も可能です。

アナタの滞在期間が何日か解りませんが、絵は、滞在期間内に、完成させることを目的に習うべきだと思います。

何故ならば、絵は、描いているうちに飽きてくるものなんです。中座してしまうと、未完のまま、一生押入れの中という可能性すらあります。

反対に、完成すれば、飾れますからね。絵を見るたびに、バリのことを思い出せてオトクです。

日本では、忙しい生活をしているでしょう。しかも、結構飽きっぽい性格じゃありませんか?

そういう方は、最初から、難しい事に挑戦しようとしてはいけません。

自宅で絵なんて、描いたりできそうも無いという人は、やはり、バリ滞在中に仕上げるというのを目標にするべきです。

将来は難しいのに挑戦するとしても、初回は、自分の習うべき絵のスタイルを、自分にも実現可能なスタイルに変更するのをオススメします。

何でも途中で飽きてしまうとか、長続きしないという人は、初めから、難しい事をやろうとしすぎる傾向があるんです。日ごろ落書きもしていないのに、バリ絵画が、いきなり描けるようになるはずないでしょう。

ですからね、初めて絵を習う方は、

●基本的な知識の習得(色の塗り方の順序と、ぼかし方などのテクニック)
●カンタンな絵の模写をし、一枚完成させる(アクリル専用紙)
●カンバスに、別な感じの絵をもう一枚、きちんと描いてみて、完成させる。
滞在期間中に、この三段階で進んでゆくのがいいんじゃないかと思います。

大切な事は、あれもこれもと、詰め込みすぎないことですね。

『このスタイルは、次回にしよう』というふうに、次回にやることも、取っておきます。
そうすると、また来ようという気持ちも出てきて、お得です。
旅をすることを考えている時間というのは、幸せな空間だからです。

◆◆◆ 誰に習うのか? ◆◆◆

まあ、ガイドブックにも紹介されている人もいますけどね、お高いこと言われるんじゃないっすかね?有名な方だとね。

UBUDには画家が沢山いるんです。
オジャラも、何人かの優れたアーティストの方を知っています。
無名ですけど、作品はしっかりしています。

どんな作品を『シッカリしている』と評価しているかというと、例えば同じスタイルであっても、
『模写では無い絵』のことを指しています。

バリ島には、職業画家も沢山います。
自分のスタイルを確立して、有名になったセンセイには、沢山のお弟子さんがいて、皆さん、先生の絵を模写して、偽造品を沢山作って売っています。ホントっす。
ですから、それが、本人が描いた作品か、お弟子さんが描いた作品かというのを見分けなければいけませんね。

理由っすか?お弟子さんはヘタなので、そんな人に習っても、ちゃんとした絵は描けるようにならないと考えるからです。

そういう意味では、バリ旅行の記念に、絵に挑戦するだけなので、一通り描ける人であれば、誰に教わるのでも構わないという、アバウトな選択肢もあると思います。

まあ、お弟子さんでも、巧い人もいるのでね。しかも、無名だから貧乏。だから、授業料も安くしてもらえるという構図が出来上がります。

ようするに、画家の人は、誰でも観光客に、絵を教えたがっているということです。

アタシですか?金払ってくれるのであれば、教えてあげてもいいです。でも、バリ人の方が安いですって。たはっ。しかも、アタシ、絵は下手だもんなあ。

◆◆◆ ということで、誰に習うかは自分で選べばいいんです。 ◆◆◆

お嬢さんの滞在期間は、何日位なんですかねー?10日位っすかね?普通。

そうしたら、初日は、自転車を借りて、ギャラリー巡りをすることをオススメします。
ネカとアルマは離れているので、まあ、どちらかしか行けないと思いますけどね。
有名美術館の周辺には、小さいギャラリーが集約しています。
片っ端から、美術館の近くのギャラリーの絵を見てまわりましょう。

自分がチャレンジしようとしていた絵に近いタイプの画風に、必ず巡り会います。
え?左の絵の人がいい?そうでしょうとも。彼は巧いっす。
その話はあとでするとして、見つかりました?
描いてみたい絵は??

その絵は、初心者には難しすぎないですか?ま、いいか。描くのはアナタだし。

絵が決まったら、絵を指差して、ギャラリーの人に聞いてみましょう。
『サヤ マウ ビチャラ イニ ルキサン』(私は、この画家と話したい)

正しいインドネシア語じゃないかもしれませんけど、通じるでしょう。

ギャラリーの近くに住んでいれば、呼んできてくれますし、電話番号などが解れば、教えてくれるでしょう。
画廊の兄ちゃんが、そこまで案内してくれると言うかもしれません。
でも、死ぬほど待たされる可能性があります。

紙とペンを差し出して、『ビサ ペタ?』(地図できる?)
とか、『ノモル テレホン』(電話番号)
『シアパ ルキサン ナマ ヤ?』(画家の名前は?)

などの言葉を駆使し、自力で、情報を得なければなりません。
え?初心者だから、そこまでの会話は、ムリっぽい?
それじゃ、裏技もご紹介します。

◆◆◆ 画家本人が絵を描いているギャラリーを襲撃する ◆◆◆

実はね、小さいギャラリーでは、画家さん本人のアトリエを兼ねている場合もあるのです。

ですから、ギャラリー探索をしながら、画家が絵を描いているギャラリーを探すのがいいと思います。メイン通りから、少しはずれると、結構看板が出ていたりします。

『ギャラリー』とか、『ペインター』などと書いてある、ボロい看板があり、バリ式の小さい入り口がある場合が多いです。
恐れずに、中に入っていきましょう。

バリ人は、概ねいい人が多いです。必ず誰かいますので、まず、その人に、『ニコリ』と挨拶をしましょう。人の敷地内に入っていくのですから、当然です。
『ハロー』などと言うのがいいと思います。

次に、『絵を見せて』といいます。
『サヤ マウ ムノントン ルキス』(私は、絵を見たい)

『ムノントン サジャー』(見るだけ)とか、『リャハット サジャー』(見るだけ)と言えば、
向こうも『ウンっ』と頷きます。

田舎の人はシャイなので、悪質なみやげ物店のように、強引に売られたりはしないとおもいますけどね。アナタも、買うそぶりや、いい人ぶるべきではないと思います。

絵が気に入りました?
ここで見るのは、絵だけではありません。この家の経済状況もよく見ておきましょう。

ちゃんとした絵を描いている人は、バリ人でも結構金持ちだったりするんです。

プラ(敷地内のお寺)とか、家の屋根の、藁葺きの新しさとか、イブの洋服、バレ(床と柱と屋根だけのテラス)の豪華さなどもチラチラと見ておきます。

理由は、絵を習う場合、ほとんどの方は、バレで、絵を描く事になるからです。自分が絵を描く場所が、快適かどうかは重要です。

小鳥を沢山飼っていたり、蘭の花が咲き乱れていたり、フルーツがたわわに実っていたり、そういう家が無いこともありません。(豪華ホテルのような場所ではありませんよ。念のため。大理石張りとかは、ゼッタイにありません。いくつかみれば、金持ちかどうかはわかります。入り口の塀の彫刻だけでも分かります。)

そういう所だと、絵のモチーフがあちこちに転がっているので、絵も作りやすいんです。
アタシ的にはね、そういう、ある程度金持っているギャラリーの画家さんに習う方が、いいんじゃないかとオススメしますけどね。

理由っすか?貧乏な家には、何にもないので、資本主義に生きてきたアナタには長時間過ごすには、苦痛が伴ってくるからです。お金持ちは、フルーツを出してくれたり、食べ物を食べてゆけなどといってくれますが、貧乏な方は、そういう余裕も無いのです。

バリは弱肉強食だからなぁ。

まあ、そういう、究極の貧乏一家を体験したいという方は、別に構わないんですけどね。
アナタが運がよければ、画家さん本人が絵を描いている場合もありますし、家族もチラっと見ることが出来ます。

絵を習う場合、密室で二人きりということもあるんです。
『知らないオヤジと密室か』、『開放的なバレなどで、家族に監視されながらのんびり描く』かという、究極の選択をしなければなりません。

バリ人も、良識ある人なら、(近所の人に悪い噂を立てられないように)なるべく、開放されたスペースで絵を教えると思います。

ですから、アナタは、あまりうまくない絵を、沢山の人(家族やご近所の方)に見られてしまうことになります。まあ、初めからうまい人はいませんので、気にするべきではありません。初めてなんだから、下手で当たり前っす。人が集まってきたからといって、隠したりしてもいけません。

隠すと、知りたがるのがバリ人なんです。

バリで絵を習いたいと言い出したのは、アナタなんですから、練習の絵を、イロイロな人に見られてしまう部分は諦めて取り掛かりましょう。

とりあえず、授業料なども、自分の予算を告げて直接交渉をすることになります。

◆◆◆ バリ島で絵を習うというのは、具体的に何をするのか? ◆◆◆

それは、センセイのお手本を見ながら、同じ絵を模写するところからスタートします。
バリ島の場合は、美術学校でも、模写からスタートするという進め方が主流のはずです。有名ギャラリーの入り口付近には、センセイの絵を模写しているお弟子さんを沢山見ましたし、絵のガッコに行った画家さんの話もそうでしたし、スガタ先生の話もそうでしたからね。

最初は、模写をして、基本的な構図や、色使いを学び、自分でもスケッチなどを繰り返し、最終的には、自分のオリジナルの絵や構図を作れるようになるというのを目指します。

ですから、日本でもそうだと思いますけど、いきなり訪ねた場合には、まず、紙とエンピツで、『何か絵を描いてみろ』と言われます。

この生徒さんが、どの位の絵を描けるのかを見てから、何を教えるのかを考えるからです。

ということで、もし、アナタが、全く何の絵も描いた事がない方だと、センセイが左のような絵を一枚、出してきますので、紙にエンピツで、全く同じ絵を描けるようになることから始めます。(センセイは、一番カンタンに描ける絵を選んでくれているはずです。)

ある程度、下絵が完成したら、次に、下絵をアクリル用の紙(もしくはカンバス)に、更に描き写します。(日本であれば、トレシングペーパーを使い、カーボン紙で転写するという事もあると思います。)

そして、次に、色塗りの方法を教えてくれます。

最初は、何色から塗れとか、植物の色は、この色と、この色を混ぜて、この順番で塗り重ねるとか、そういう感じです。

どんな画材でも、色を塗る順番があるのです。
この順番を知っているか知らないかで、絵の完成度や制作時間が全然変わってしまうことが多いのです。
ですから、絵を習うといったときに、習う人が最も重点を置くべき所は、

●何色から塗り始めて、

●濃淡や、影、ぼかしなどをどのように作っているのか

●仕上げには、どのようなテクニックがあるのか

を、中心に学び取るということになります。

◆◆◆ バリで絵を習う時の手順のまとめ ◆◆◆

●センセイの絵をエンピツで模写する

    ↓↓↓

●さらに、本番用の紙に転写もしくは、模写しなおす

    ↓↓↓

●色を塗る

    ↓↓↓

●仕上げる

これですね。

そして、次に、この作業を、アナタが、どの位の時間で進められるかが、絵を習うコストと比例してきます。当たり前っすよね。長時間習うというのは、長時間分の、お金を支払うということになります。ぐずぐず描いていると、何時間もかかっちゃうんです。

そして、バリ絵画を習うとき、金を払う価値があるのは、色塗りのテクニックの部分だけだとアタシは思ってます。

理由っすか?

色塗りのテクニックというのは、画家さんによっては独特な部分があるんです。それが、画風だったり、画家さん独自のスタイルだったりするわけです。

同じ塗りを自力で習得できるようになるまでには、一人で試行錯誤を繰り返さなければなりませんが、金を払って教われば、重要な部分だけを短時間で習得することができるのです。

一度身に付けた技術は、次からは、自分だけで使えるようになるので、安いもんですからね。

自力で試行錯誤している時間を、沢山の新しい作品制作に当てられるようになるのです。

以下
イダバグーススガタ氏画

◆◆◆ 友人の素朴な質問 ◆◆◆

アタシが絵を描いていると知ったお友達は、アタシに一つの質問を投げかけました。

『芸大出身の人が、バリ絵画を習いに来ているんだけど、何故、もう絵が描けるのに、バリ人なんかに習うのか』という質問でした。

アタシは、

『絵には、描く順番がある。自力で描く順番を試行錯誤するよりも、どなたか描ける方に教えてもらうことができれば、同じ絵を短時間で描く事ができるようになるからじゃないか。』

と答えました。

それ以外の理由っすか?思い浮かばないけどなあ。
まあ、誰かに教わるのが好きっていう人もいますよね。

絵が描ける人ほど、『自分のオリジナルな作品を作らなければならない』というプレッシャーが強いんじゃないかと思いますね。

『誰かの絵を模写している時間』はそういう、自分のストレスから、開放されますからね。精神的な休養ってことで、アタシ的には、いいんじゃないかと思いますよ。

伝統的なバリ絵画の模写だったら、3ヶ月位かかるらしいから、なんか描きつつ、精神的には開放されるので、息抜きとしてもいいのかもしれません。

自分の未知なスタイルに触れる事で、自分の画風に影響を与えたりもできますからね。

順番さえ解れば、次は、自分のスケッチしたモチーフなどを組み合わせて、自分の絵を制作するという、次のステップに進めます。

そして、芸大出身者にも、自分の絵を模写させてしまう国なんです。この国は。

ま、日本にも、そういうセンセイいるみたいですけどね。はは。
日本のそういうところには、行かないほうが、いいんじゃないかと、個人的には思います。理由っすか?センセイの絵の模写を続けている限り、自分の絵を描けるようにはならないからっすね。

まあ、オリジナリティの無い人には、向いているのかもしれません。でも、日本は高いからなあ。何十万も払って、センセイのコピー描くんじゃ、金がもったいないような気がアタシはするけどなあ。

金持ちなら、そういうのもいいか・・・。日本人の場合、有名な先生に習っているというのが自慢の人も多いしなあ。そういうお教室じゃないと満足できない人もいるしなあ。ま、幸せなら、それでいいかぁ。

◆◆◆ 絵画体験の落とし穴 ◆◆◆

しかしながら、先生の絵が、とりあえず、別の紙に写せるようになるまでは、例えば模写にしたって、転写にしたって、誰も手取り足取りなんて、教えてくれません。

それは、日本のカルチャースクールで絵を習うにしたって一緒のはずです。
壺や花などを前に置いて、とりあえず、『描いてみろ』と言われます。
5分で描けとか、15分で描けとか言われます。(→想像ですけどね。アタシ、習った事ないんですって。)

そんで、描いた絵について、『ここをこうした方がいい』とか、『この線は、こう描く』などと、偉そうな事を言われて、絵を直されたりするのです。

とりあえず、スケッチであっても、模写であっても、転写であっても、その段階までは、自分で描けるようにならないと、次には進めないのです。

アナタが、ぐずぐず、いつまでたっても、下絵の模写が出来ない場合には、センセイが手伝ってしまうということもあるでしょう。カルチャースクールだって同じかもしれません。
でも、それは、手取り足取りですけど、アナタが描けるようになった事とは違います。

絵を習うからには、自分で描けるようになることを目指すべきだし、そのために、自分でも準備をしたかどうかが重要なんです。

『とりあえず、行ってみよう』などという、行き当たりバッタリでは『ムダな時間』もできてしまうし、『ムダな金もかかってしまう』のです。

アナタの絵が、バリ滞在中に、完成できるかどうか、充実した滞在になるかどうかがかかっているのです。

アタシの提案は、『日本でできることは、日本でやっていったらどうか』というものです。

たとえば、日本にいる間に、模写もしくは、転写が既にできる段階まで、自分のスキルがあれば、バリでは、色塗りだけを中心に教えてもらう事が可能です。

センセイに支払う授業料の一部は、自分のみやげ物代に回せますし、節約した絵画作成の時間を、ショッピングやエステにも回せます。

そう考えると、どう準備すればいいのかも読んでもいいかなと、思いませんか?

バリ島に滞在するとだんだん感じてくるのは、『金を使うのがもったいない』ということなんです。

滞在費が安いですからね。レッスン費を節約したいと考え始めるんです。バリに行って、絵を習い始めてからそんなこと考えるんじゃ遅いんです。

それは、ガムランを一曲も聞いた事が無い人が、ガムランを習うのと同じ事です。知らない曲をゼロから習うのでは、何十万ルピアかけたって、一曲も弾けるようにならない可能性だってあるんです。

日本でもできること、行く前から、考えておいたらどうっすかね?

◆◆◆ 具体的には何をすればいいんですか? ◆◆◆

聞いてばかりいないで、自分でも考えたらどうですか?
今、日本人の学力低下が問題になってますけどね、日本人の学力低下の中心はね、『考える力が無い』という問題なんです。
自分もで考えないとね。脳みそ、フカフカになっちゃいますよ。はあ。

でも、ま、ココまで読んでくれたので、ついでに教えてあげましょう。アタシって、いい人だわあ。

まず、小さいスケッチブックを買って、身近な物を描いてみます。
超初心者の方には、鳥とか植物をいきなり描くのは難しいかもしれませんね。

『湯飲み茶碗』とか、『コーヒーカップ』にしたらどうっすかね?
エンピツとケシゴムなどを駆使し、同じ絵を3枚位描いてみます。
作業時間は、一枚5分から10分程度を目安にするといいですね。

今の段階から、特に、意識する必要は無いですが、レッスンを受けるのであれば、時間の事も、気にする習慣を持っておくといいと思います。何分からスタートして、何分に終了みたいなのも、絵の横か裏にメモしておくといいと思います。

どうですか?上手く描けましたか?

たぶん、最初のより、三枚目の方が短時間に、上手く描けたと思います。
そうしたら、もうちょっと難しいのに挑戦してみましょう。

たとえば、MDプレイヤーとか、デジカメ、パソコン、マウス。
エンピツとか、ケシゴム、スニーカー、ビールやジュースなどの空き缶、カップラーメンの容器など、動かない物で、近くにある品を次々と描いてみましょう。

そんな身近な品でいいのです。人に見てもらうわけではないので、好きなように描きましょう。
気に入らない線や、失敗した線は、ケシゴムで消しながら、どんどんと描いてゆきます。

一日一枚位を目標に、スケッチブック一冊(20ページ―50ページ)位は、絵を習う前に、描くと、自分の自信にもなります。

また、絵の先生は、生徒さんが、どれくらいのレベルで絵が描けるのかを知りたいのです。

ですから、このスケッチブックは、旅行先に持っていって、先生に見てもらうためにも利用します。

◆◆◆ もし、もう少し時間的な余裕がある方は ◆◆◆

もう一冊、小さいスケッチブックを買います。わら半紙のような薄い紙で、安くて小さい品でオーケーです。(専門用語では、クロッキー用というらしいです。)

今度は、植物に挑戦します。
会社の昼休みなどに、オフィスや、食堂、エントランスなどに置いてある観葉植物などを描くのはどうでしょうか?

恥ずかしいですか?

それでは、花屋さんに行って、鉢植えの観葉植物を買うか、本屋さんか図書館に行って観葉植物の育て方の本などを一冊準備します。バリにあるほとんどの植物は熱帯性の植物で、観葉植物にとても近いのです。

今度は、葉を描くのに慣れるという練習です。

あ、あと、鳥も描きますからね。『オウムの飼い方』などという本を図書館で借りてきましょう。

エンピツで、おおまかな形を取ったら、葉がキレイな植物であれば、色エンピツなどで、色をつけておくのもいいと思います。あとで、自分の絵を作る時に、参考にできます。

葉を描く時には、一枚だけ、まず、ドーンと描いてみます。
いきなり全体を描こうとすると、上手く描けなくて、やる気が無くなるからです。

ポンゴセカンスタイルの絵は、葉は、椰子の葉やその他の葉を鳥と組み合わせて配置して、絵を構成している場合が多いのです。

ですから、植物そのものを描くというよりも、一枚の葉をイロイロな角度から何度も描いてみるという練習は、即効性があり、今後の作品作りに役に立つと思います。

このページに展示した、『ラバ氏』の絵も、参考にしてみてください。

彼は、ありとあらゆる葉っぱの絵のモチーフを何百枚も描いているはずなんです。
そうして、自分の絵の中に、好きな葉を、好きな場所に自在に配置できるような技術を身につけたのです。

ちなみに、鳥は、図鑑のような本を見て描いていると言っていました。

ポンゴセカンスタイルの絵は、まず、葉っぱと鳥を描けるようになるというのが基本になります。

◆◆◆ 描いてみました? ◆◆◆

アタシ的に言わせてもらうと、『お手本と同じ絵を、下絵としてエンピツで描けるようになる』とか、『模写ができるようになる』とかいった技術は、バリでの絵画体験には必要ありません。

むしろ、絵を習う必須条件として、最低限、お手本の絵を渡されて、それを同じように、エンピツで別な紙に書き写せる能力がある人が習うべきじゃないかと思います。

同じクラスに、ドラエモンとか、鉄腕アトムとか、ベルバラのオスカルとか、上手く真似して描ける人いましたよね。(→例にしているマンガが古くてスミマセン)

まあ、そのように、絵が好きで、ある程度、人が描いた絵を正確に再現できる能力がないと、ゼロからバリで習うのは辞めた方がいいんじゃないかと思いますけどね。

理由はね、言葉が通じないからです。

コーヒーカップも描けないコが、例えば、いきなり画家さんの所で、絵を習いたいといいだしても、センセイも、何をどう習いたいのかとか、何が描けるようになりたいのか解らないので、困ってしまうのです。

この赤い鳥の絵がね、このページの中で一番カンタンな絵なんですけどね、慣れていない人だと、エンピツで、下絵として別な紙に写すのに3時間位かかる場合もあると思います。トロイ子だと、もっとかかるかもなあ。

だけどね、スケッチブック2冊位、事前にスケッチを描きこんでおくとこの程度の絵であれば、30分位で写せるようになるはずなのです。

ですからね、日本では、仕事が忙しくて下絵の練習する時間なんて無いし、言葉も自信無いし、コーヒーカップも描けないという人はね、3時間位で、教えてくれる、お高いお教室があるでしょう。

日本人のインストラクターなんかがいてさ、40ドル位払うと、チャッと、カルチャー体験できる場所が。そういう所に行ったらどうかなと思うんです。

理由ですか?

もう、下絵が描いてある布が用意されていて、色塗るだけなんだそうです。カンタンでいいじゃないっすか。センセイも手伝ってくれるしね。センスあるコなら、1時間位で仕上がるんだそうです。

絵の具代とかも全部、カルチャーが用意してくれているみたいだし。手ぶらで行って、塗り絵して、たぶん、額つきの絵を持って帰ってくることができるのです。

そういうのが、手軽で、しかも、自分で作ったのでウレシイという人もイッパイいるみたいです。

バリ島での滞在時間は限られていますからね。何時間かけたとしたって、先生にいくら払ったからといったって、結果的に、完成した作品は、同じようなもんなんです。

人の絵を模倣するっていうことは、そういうことなんです。

完成度が同じだったら、短時間でできるほうがいいという考えも、アタシは否定しません。

◆◆◆ 中には、それでは物足りないという人もいる ◆◆◆

でも、絵を習いたい人の中には、『前に、カルチャー絵画を体験してみたけど、カンタンすぎてつまらない。もっと、ちゃんとした作品や、オリジナルな作品に、挑戦してみたい』

と言う人もいるはずです。

アタシはね、バリで絵を習う人は、最低限、ときどき絵を描いたりしている方か、スケッチブック二冊位の身近な品や葉っぱのデッサンは、旅行の前に、日本で練習できる方の方がいいんじゃないかと思いますけどね。

まあ、それでも、行き当たりバッタリの人っていますからね、そういう方は放っておきましょう。

それでね、ある程度、中級者の方はね、こういう準備もするといいと思います。

●まず、インターネットで、絵を沢山見る。

バリの絵画を販売している方は沢山いますからね。また、お値段は、メチャクチャ高いですけど、いい絵があったりします。

ですからね、なるべく多く見ておきましょう。

●気になる絵は、カラープリントする。

そして、自分が部屋に飾れるくらいの大きさの紙を用意し、その大きさに、エンピツで、絵を拡大模写してみてください。

下絵がどうしても上手く描けないけど、色には自信があるという人も中にはいるので、そういう人は、トレッシングペーパーなどで、転写しても構わないです。(→そのような転写した絵は、売ったりしてはいけません。自分の楽しみのためだけですよ。念のため。)

そうです。日本で、下絵を描いてしまうのです。

もう少し、上級者は、イロイロな方の絵を参考に、葉っぱなどの形を真似て、自分で組み合わせて、オリジナルの下絵を作ってもいいと思います。

大きいスーツケースで旅行に行く方なら、アクリル画用のカンバスを日本で買ってしまい、下絵を更に、カンバスに写しておくという準備もできますね。

バリ島で、気になる先生が決まったら、自分で作った下絵や、下絵のついたカンバスを持参し、『色のつけ方を教えてくれ』と、頼むのです。

まあ、センセイの絵じゃない場合、ちと嫌な顔されるかもしれませんけどね。センセイだって銭は欲しいですから、まあ、教えてくれるでしょう。

できれば、パソコンからダウンロードした、お手本の絵をプリントアウトして持参します。

もしくは、自宅で紙などに下絵の練習をしたものに、色エンピツなどて、軽く色をつけておきます。先生も、生徒が、どのように塗りたいのかを、事前に知りたいからです。

何故、下絵を日本で描くほうがいいのかといえば、この作業にかかる時間には、個人差があるからです。1週間かかる人もいれば、一時間でできる人もいるのです。

そして、何分かかるのかは、実際に自分が描いてみて初めて解るわけですよ。
センセイは、生徒さんが下絵を完成させるまでは、手を出さずに、ジッと見ています。
何時間かかろうと、アナタがお金を負担するわけですから、いいんですけどね。
センセイによっては、一時間いくらという決め方で、授業料を取る人もいるのです。

ですからね。そういう自分でできる作業は、自分で出来る所までやってから、習いに行くという方が、授業料が節約できるのです。センセイも、ムダな時間をつきわあされないで済むので、ある程度できるコが来てくれる方が、あり難いのです。ホントっす。

何かを教えていて、ちっとも上達しないコは、もう教えるのが、面倒くさくなるんです。そういう国なんです。

これを読んでいる人の中には、下絵は、自分のオリジナルで、じっくり考えながら作りたいという上級者もいることでしょう。

そういう人でもね、いきなり行って、絵を習いたいというと、センセの絵の模写からはじまる国なんです。

上級者には、センセイの模写はつまらないし、滞在期間は限られているのです。

それに、センセイがお手本として出してきた絵が、アナタの気に入るとは限りません。

気に入らない絵を模写させられるというのは、いらない絵を買うのより、もっと悪いです。

でもね、言葉が通じないんですから、自分のスケッチも持たずに行ったら、問答無用で、センセイの絵の模写になってしまうんです。

バリ滞在期間は短いですから、一枚か二枚しか作成できないのであれば、好きな絵とか、部屋に飾りたい絵に挑戦したいですよね。インターネットで、40万円とかしている絵を自分で描けたら、安く済んでいいじゃないですか。

ですからね、『限られた時間で、ちゃんと教えてもらいたい』とか、『好きな絵をバリで完成させたい』と考えているのであれば、下絵位は日本で完成させて、アクリル用の紙や、カンバスに、下絵の転写も済ませてしまう。これがオススメですね。

アタシが、バリで絵画を習うなら、そうすると思います。というか、もう、絵はサラサラ描けるので、『アクリル絵の具で描きたい絵の下絵』位は、持って行きますね。

理由は、カンバス布を張ったあとの、下塗りの仕方は勉強したいので、そこから教えてもらいたいからです。

でも、短期の滞在者の方の場合、その知識を学ぶ時間がもったいないですね。
理由は、日本で絵も習っていない人が、アクリル画用のカンバスを、自分で作ったりはしないので、不要な知識じゃないかと考えるからです。

とりあえず、滞在期間内に、アクリルの紙一枚、カンバス一枚の二枚を完成させる目標で旅にでたとすれば、まず、それを完成させてから、更に、その他のことを勉強するのが筋だと思います。

『全部一度に、バリでやろうと思ってるからヘーキ』と思っている方。そんな方は、ゼッタイ完成しませんって。彼らはね、プロの画家なんです。絵を売って生計を立てているんですよ。

ですからね、アナタが、3時間で描けるようになるわけないでしょう。
センセイによっては、もう30年も絵を描きつづけているのです。

あまり、詰め込まず、今回は、とりあえず二枚なら二枚と決めて、その絵を完成させることに集中するのがベストです。

◆◆◆ ここで、本当に習うかを、もう一度考えます ◆◆◆

オジャラは、お友達がバリ絵画を習いたいと言うので、一緒に、センセイを探す旅に出たことがありました。

ポンゴセカンは、ニュークニンの隣なので、ポンゴセカンのギャラリーをブラブラと回ります。

4件程のギャラリーを回り、お友達は、『この人に習う』というのを決めたようでしたが、次の日には、もう、習わないと言い出しました。

バリ人が気持ち悪いなどと言い出し、『二人きりで何時間も絵を描くのは耐えられない』というのです。

オジャラは同意です。

バリに住んでいますけど、一度たりとも、絵を習おうと思った事はありません。

理由は、例えば、ボンゴセカンや、ウブドスタイルの絵ですけど、描けるようになって、どうするのかという話があります。

センセイ以上には描けるようにはならないし、センセイの絵だって、安価に買えるのです。

下手したら、授業料より、安く買えるかもしれないのです。

同じ絵なら、別に、自分で描けるようになる必要がないじゃないですか。

◆◆◆ こういう方法もある ◆◆◆

『絵が安価なのだから、お手本となる絵を買い取ってしまう。』というのはどうですか?

最初に、ギャラリーを回ったときに、気に入った絵を買い叩いて、宿に帰って、自分で持参した、別な紙に、模写してみます。

お手本を見ながら同じように描くという作業は、センセイがいてもいなくても、自分でやらなければならない作業ですから、結局は一人でやりますからね。

どうしても上手くいかなければ、トレッシングペーパーを使って、短時間に転写してしまうという方法もあります。

でも、もう持っている絵を描くのもバカらしいですからね。
きっと、途中で、嫌になると思いますけどね。

そんで、このあと、色塗りを習いに行く金がもったいないと感じて、エステにでも行こうと思うんじゃないっすかね。
人の絵を写すという作業は、その程度の作業です。

でも、断言しておきますけど、バリの伝統絵画体験は、先生の絵の模写からスタートです。

それであれば、アタシ的には、自分だけのバリ島の風景を、自分でスケッチして歩いたらどうかと思います。

アタシのお友達は、バリ絵画を習う計画をスケッチ旅行に変更して、沢山の絵を描き上げました。

水彩画は初めてだと言ってましたが、二ヶ月位スケッチを続けたので、すごく上手くなりました。

『譲ってくれるなら、アタシが買う』と言いそうになるくらい、いい絵でした。

アタシは、そういう絵の方が、アナタにとって、価値があるような気がしますけどね。

◆◆◆ ヌードデッサンに通ってみる ◆◆◆

他のコンテンツで紹介していますけど、UBUDでは、週に四回のヌードデッサン会が開催されています。(男性の場合は3回。女性専用が1回あります。)

ですから、絵の初心者とか、絵をもっと上手く描けるようになりたいと思っている人は、こちらに参加するというのもいいと思います。

日本のカルチャーセンターのように、センセイが手伝ってはくれませんが、そのかわり、アナタの絵にケチをつける人もいません。

好きな日に参加し、好きなように描く。
沢山のアーティストの方とも友達になれます。
また、密室に二人きりなどでは無いので、開放的に制作活動ができます。
しかも、一回の参加費は、200円前後なのです。バリ人のセンセに習うより安いっす。

私も、日本では、ヌードを描いた事はありませんでした。
ですから、初めて参加したときには、スッゴイ下手くそでした。
でも、6ヶ月間まじめに通い、最近、ちょっと描けるようになってきたんじゃないかと思っています。
絵は、描いた量に比例して、必ず上達します。語学と同じっす。

ですからね、アナタも、人の絵なんか、模写したりしないで、自分で描けるようになる方向を目指した方がいいんじゃないっすかね?

◆◆◆ それでも、バリ人に習いたい ◆◆◆

人の言う事を聞かない人ですねー。まあ、いいですけどね。一回くらいは、そういうのもいいかもしれないっすね。アナタの旅だしね。

バリ絵画を習う場合、一時間当たり、ガムランの練習と同じ位の金額を言い出す先生もいると思います。ですから、アナタが、どの位の時間で一枚仕上げることができるのかで、授業料も変化します。

ガムランのレッスン代は、2002年4月現在で、一時間50000ルピア位だと思いますね。
絵を完成させるのに、アナタが何時間かかるのかは、アタシは解らないんです。

まあ、センセも画家の場合で、センセのアトリエで教わる場合には、センセも絵を描くでしょうから、ガムランレッスンよりも、もっと値切れると思いますね。絵の生徒さんは、ガムランを習いたいと言う人よりも、ずっと少ないので、安くても教えたいということもあると思います。

それにセンセイも、絵を教えるのは、生徒さんに、勝手に描かせるだけなので、ガムランのように、つきっきりで教えるということではないですからね。

『何時間だからハイいくらです。』みたいに請求されても、ちょっと高すぎると思う方もいるかもしれません。

絵を教えるスキルというのは、コストがかからないですから、センセイとしては、絵を手放さずに、日銭を稼げるので、どの方もやりたいと思っているのです。

そうです。授業料は、アナタの交渉の仕方や、絵を描くスピードや、お土産の量や、下絵などの事前準備の量によっても変動するのです。

二枚の絵の色塗りを同じセンセイに習うとして、下絵を描いた紙とカンバス、画材を持参し、
『この絵二枚を完成させるまでで、●●●ルピアでお願いしたい。』みたいな感じで交渉するのがオトクだと思いますけどね。

この方法が、アナタにとって、もっとも安い値段で、短時間で、バリ人から必要な情報だけを習得することが可能なのです。下絵が完成していて、画材も持参していれば、センセイの都合がよければ、すぐに、レッスンにとりかかれますからね。アナタにとっても、都合がいいでしょう。

絵の授業料の交渉の目安として、まず、センセイの絵の金額を知るのもいいですね。自分が描きたい絵と同程度のサイズの絵の価格の、半額位は覚悟してあげたらどうっすかね?まあ、自分で描くわけだしね。絵の価値っていうのは、水ものだからなあ。なんとも言えないかなあ。初回スタート価格が不当に高い場合もあるしなあ。

村でも有名な画家という方もいるんです。そういう方は、レッスン費も高いこと言うかも知れませんね。でも、いいオッサンなら、安くても、快く教えてくれると言う人もいます。バリ人ですから。

大きいサイズの作品になると、描くのにも時間がかかりますよね。ラバ氏の作品に比べて、スガタ氏の作品は、描くのに、何倍もの時間がかかるわけですから、授業料も、やはり、制作時間に比例して、多少払ってあげたいという習う側の気持ちもあると思います。

それは、アナタの方が、圧倒的に金持ちだからです。

でも、有名ギャラリーでなければ、絵は大幅ディスカウントもオーケーですから、絵のディスカウント価格の半額程度から、授業料の交渉はスタートしてみましょう。まあ、あんまり安いこというと、ちゃんと教えてもらえない可能性もありますから、難しい部分もありますけどね。

それでも、バリ島は、買い手市場なんだから、金払う人が決めた金額で、交渉は成立可能なんです。

絵が一枚50万ルピアだからといって、絵を二枚完成させて、25万ルピアで教えてもらうのも、気が引けるよなあ。でも、可能性はあるな。向こうも金に困っている人だから、絵も安いんだし。

25万ルピアで売ってる人に習う場合はどうするんだ?うーむ。バリの絵は奥が深いからなあ。でも、25万ルピアで買えるなら、習う必要無いもんねー。その絵買っちゃいましょう。それで、お部屋に飾ればいいじゃないっすか。

でも、貧乏画家にとって、5000円(360000ルピア)といえば、大金ですからね。(特にバリ人にとってはね)絵を売らないのに、その金が入ってくるのであれば、一生懸命教えてくれますって。

ですから、予算を決めている場合には、『5000円しか予算がないので、その範囲で2枚を完成させられる、塗り方の要点だけ教えて下さい』という頼み方がベストだと思いますけどね。

先生も、『アナタがいくらで習いたいのかを、ハッキリ聞きたいと思っている』のです。

授業料の交渉のインドネシア語はイマイチ解んないので、自力でガンバロウね。
センセイとしても、下絵が完成している絵に色を塗るのを教えるだけなら、教えるのもラクなんです。センセイが描いた絵じゃないから、申し訳ない?

そんなことありません、ゼッタイに『オレにも描ける』といいますから。そういう国なんです。
センセイにとって、一番手がかかる生徒さんは、大して絵も描けないのに、難しい絵に挑戦しようとする人なんです。

あと、困る生徒さんは、

●下絵作成にどの位時間がかかるのかとか、
●どの程度絵が描けるのか、とか、どんな画材で描きたいのか
●何に描きたいのかとか、
●どの位の大きさの絵にとりかかりたいのかというのを決めていなくて、

センセイが必要な情報を引き出せない人ですね。
絵を教える人には、全てが大事な情報なんです。

その、絵を習うのに最低限必要な話しを伝えるだけだって、言葉が通じないから、ワケ解らない話で、何時間もかかっちゃうんです。

百聞は一見にしかずといいますからね。

ですから、言葉に自信が無い人は、アタシが言ったとおり、画材、下絵を描いた紙、下絵を描いたカンバス、下絵のデッサンを完了したスケッチブック二冊を持参して、センセに見てもらい、自分の予算を告げれば、言葉が良くわからなくても、交渉は、かなりすんなりと成立するはずです。

『イニ、 パサン ワルナ スルサイ ブラジャール ラティハン スモア 5000エン』などと必要な言葉を並べても、まあ、実物があれば、センセイも、意味は理解できるでしょう。

スモア=全部

パサン ワルナ=色をつける

スルサイ=終える

ブラジャール=学ぶ

ラティハン=練習する

です。

色をつけるのを学んだり、練習したりで、全部で五千円という意味です。(→アタシも、これで通じるのかは不安だが、あとは、勢いっす。)

アタナがいつ帰国するのかも伝えます。短期であれば、毎日こられても、めんどうじゃないけど、二ヶ月先までこの値段じゃ、イヤだなあと思うかもしれませんからね。

もう少し高い値段で交渉してくる人もいると思いますけど、センセイの絵がアナタも気に入っているわけですから、まあ、もうちょっと高くても、日本で習うより安ければ、適度な金額で折り合うようにするのが、交渉のコツっすね。

日本で習うより高いこと言われたりしたら、少し考えるといって、帰ってくるのがいいと思いますけどね。だって、それなら、言葉の理解できる日本で習うべきですよ。もしくは、他のバリ人を頑張って探すべきです。

ガイドブックなどに載っている教室で、外人に教え慣れているセンセイは、あまりディスカウントありません。外国人からガッポリ儲けるのに、慣れているからね。

それでも、一時間50000ルピアなら、まあ、相場だと思いますけどね。

ですから、5000円というのは、相場で7時間分位の費用ですね。

アナタが、二枚を7時間以内で仕上げられると感じているのであれば、1時間50,000で手を打つ方が安いし、15時間かけたいと考えているのであれば、5000円しか払わないのですから、半額で習えたという交渉です。

自分でも、どちらが自分に合っているのかとか、解りやすいのかとかを考えて、損しないように交渉をしましょうね。

旅行代理店や、旅行センターなどが企画している画家さんの授業料は、代理店にも金が入る仕組みになっていますから、ディスカウントは無いんじゃないかなあ。不当に高かったりしてね。でも、ま、体験だからね、いーんじゃないんっすか?設備も整っていて、授業料以上の金を払う必要も無いだろうしね。

ガイドブックなどの情報をみて、その画風などが、アナタが習いたい絵なのであれば、そういう方に習うべきでしょう。そのために行くのですから。

◆◆◆ お金はいつ払うのがいいんですか? ◆◆◆

時間決めで交渉を成約した方は、一日終わったら、毎日支払いましょう。

まあ、『払いは後でいい』と言うと思いますけどね。こういうのは、キチっと、毎回払うと、センセイは安心しますからね。アナタに逃げられたとしても、損は無いですから。

『トータルいくら』で交渉したときには、一枚目が終わったら、3分の一位支払います。

そして、全部仕上げたら(仕上がらなかった場合は、最終回)に残りの全額支払ます。

絵は、最低でも、帰国の前日までには仕上げて、半日以上は乾かしましょう。

この場合、宿泊先の宿とか、宿の電話番号を必ず紙に書いて渡します。そうしないと、金払ってもらうまで、バリ人は、とても心配しますからね。

◆◆◆ 日本から持参する品は何ですか? ◆◆◆

□ アクリル絵の具のセットを一箱(12色もしくは18色程度、予算があれば、色数は多いほどいいです。)

□ アクリル画用の筆(水彩用でも大丈夫じゃないかと思いますけどね。画材店で聞いてください)を大・中・細、絵が大きい場合には、ハケのような一度に絵の具を沢山塗れる奴も一本。細密画なので、細めの筆は、何本かあるといいかもしれません。

□ 紙パレット(画材店でアクリル画用のが売っています)もしくは、パレット

□ アクリル画用の紙(及びカンバス)

□ エンピツとケシゴム

□ (下絵がまだで、転写する自信の無い方は念のため)トレッシングペーパーと、カーボン紙)

□ 墨汁一本(仕上げに使っているようである)100円ショップなどのでいい。

□ 水入れ

□ ボロ布

全ての画材はバリ島でも買えますけど、値段が日本より高い場合とか、安い品は中国製ということもあるので、もし、お近くに画材店があるのであれば、持参されることをオススメします。

バリは、外国人が買いに行くと、不当に高くふっかけてきたりしますし、画材店まで行く足がなくて、タクシー代がかさんだりしますからね。やっぱ、持っていったほうがいいですって。

日本の画材は素晴らしいです。

また、紙は、日本から持参しましょう。バリの方が高いですし、いい品があまりありません。

水入れとか、ボロ布は、バリでなんとかなると思うかもしれませんが、旅行中というのは、結構このような品でも調達するのに金を払ったりしなくてはなりません。

もし荷物に余裕があれば、ご持参されたらどうですかね。

バリ島での買い物は思いの外時間がかかったり、目的の品を探すのに何件も回ったり、画材店を探すのに時間がかかったりしますので、水入れが調達できないという理由だけで、何日も経ってしまったりしますからね。ホントっす。

◆◆◆ センセイへのお土産はどうすればいいですか? ◆◆◆

ま、別に無くても教えてくれますけどね。
とりあえず、セクハラなどの不安無く、安全に絵を習うためには、イブ(奥さん)に好印象を持ってもらうのが一番です。
ですから、フリマなどで買ったTシャツとか、ママの古い洋服など、不要な品をお土産として、利用してはいかがでしょうか?

日本の洋服は、バリの女性に大人気なのです。

クバヤ用の、スケスケ生地も、すごい人気らしいです。普通幅で1.5メートル程度持参すれば、クバヤが作れますので、まあ、金払ってなにかお土産を買いたい場合には、そんなのもいいかもしれません。
奥さんに、バッチシ認知されれば、オヤジは、怖くて手が出せませんからね。

イブを上手く使いましょう。

センセに、お世話になったなと思ったら、紙が高いですからね。残りのアクリルペーパーや、絵の具をあげてしまうというのも喜ばれます。

こちらの画家は、貧乏なので、日本人のように、まず絵の具を一セット買ったりしません。緑とか、赤とか、必要な色だけ買うんです。だから、12色セットのアクリル絵の具だって、うれしいですね。持っていない色イッパイあるんじゃないかと思います。

墨汁もあげましょう。機内で液漏れすると、せっかく描いた絵が、汚れちゃいますからね。

画材をあげるかどうかの見極めは、目標の絵は、滞在中に仕上げてしまい、自分では当分描かない場合っすね。絵がまだ仕上がっていない場合には、家に帰ってから描かなきゃなんないから、あげられないもんなあ。

◆◆◆ そんじゃ、この号は終わりにします ◆◆◆

いい絵が描けるようになるといいっすね。

くれぐれも、諦めない事ですね。絵は、描きつづけていると、いきなり上達した自分に気づくものです。アタシは、独学で、まだまだですけどね、諦めないつもりです。

あ、ラバさんとスガタ先生、どちらの方も、良い方ですので、習いたいと言えば、教えてくれると思います。

スガタ先生のギャラリーは、ラヤ通りとプリアタンの信号の所のT字のぶつかるところにある、細い道を入って、少し進んだ右側です。土産物屋の隣で、正面には、抽象画の油絵のギャラリーがあります。

絵の値段は聞いたりしない方がいいっすね。絵は、素晴らしいです。ポンゴセカンスタイルの絵では満足できないと言う方は、見に行ってみてください。

ラバ氏のギャラリーは、ハノマン通りをずーっと真っ直ぐ来て、アルマを通り過ぎ、ココカンに入る道も通り過ぎ、ニュークニンに行く道も曲がらずに真っ直ぐ行き、少し行った右側にあります。左側の、マルタバ屋台の斜め前辺りです。小さいギャラリーで、イブが店の前にゴロゴロしていますから、通り過ぎてしまうかもしれません。

しかも、ラバ氏の絵は、売れてしまうので、あまり在庫が無いかもしれません。でも、絵は素晴らしい作品もあります。また、アタシがケータイ画像で紹介した絵は、昔描いた絵です。今は、急いで描いているのか、もうイマイチという作品も多いですから、そんな遠くまで行ったのに、ちょっとガッカリするかもしれません。

その他、ハノマンをニュークニンに行く道に入り、300メートル位先の左側にも、小さいギャラリーがあります。兄弟で、絵を描いていますので、もし、画風が気に入れば、教えてくれと頼むのもいいと思います。こちらの弟君の絵(ポンゴセカンスタイル)は、素晴らしいです。オジャラは、彼に、銅版画の版に絵を描いてもらおうかと思っているんです。

宿から遠いけど、絵を習いたい時には、送迎も頼んだりしてみてください。
バイク位は持っていますからね。宿まで送り迎えも頼めると、ちょっと遠くて、ちょっと高くても、ラクですよね。毎日自転車じゃ疲れちゃいます。

ラバさんの一家は、車出してくれるんじゃないかなあ。ちゃんと、自分で、送迎を頼むんですよ。
そういうときには、ときどき、ガソリン代も払ってあげましょう。

毎日、9時に迎えに来てもらって、12時に宿まで送ってもらうみたいに、交渉を進めてください。

まあ、アタシの紹介にこだわらず、もっと、自分の宿に近い、歩いて通える所で、親切な画家さんには沢山出会えると思います。UBUDには、無名の素晴らしい画家さんが、沢山いるのです。どうぞ、自分の足で、自分の描きたい画風の画家さんを探してみてください。

貴方のバリの旅が、一段と思い出深いものになるでしょう。

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