◆◆◆ 006 木彫り店の下見にゆく ◆◆◆

ハノマン王が魔物を退治している作品

◆◆◆ 両親が、バリにやってくることに ◆◆◆

どうやら、退職前の、休暇の消化旅行らしい。
これからずっと暇になるのに、なにも、休暇の消化などせんでもいいのになー。
人生最後のお勤めに、悔いを残さないようにするほうがいいんじゃないのかい?

まあいいか。休暇を消化しないで退職したら、一生後悔するかもしれないしな・・・。

とりあえず、お手軽な、パックツアーでやってくるらしい。

スケジュールに目を通す。

おおっ、4泊6日の旅なのに、ボロブドールにも行くらしい。
マジッすか?

年寄りなんだから、ビーチで本でも読んどく位がちょうどいいのにねー。まーいーか。疲れるのアタシじゃないし。

お姫様が魔物に食われている作品。
誰が買うんじゃっっっ。

◆◆◆ ボラレー親父 ◆◆◆

ウチの父親の趣味は、旅行である。
世界を旅して写真を撮影して歩くのが、彼のライフスタイルだ。

年に三度は海外を放浪し、あちらこちらで、ボラれまくっている。英語もロクに出来ないのに、旅に出るからそういうことになるんだよね。はぁ。そんなに旅行が好きなら、ちっとは勉強してよー。

最近は、観光地で値切り倒して買った土産物を、並べて楽しむという、新しい趣味も加わったらしい。

自称『パパのコレクション』と言っている。

アタシ的に言わせてもらうと、世界中でボラれた粗悪品が、狭い家の中を余計に狭くしているとしか思えない。

パパ、頼むからさ、遺言状には、『全てのコレクションは、弟に譲る』と書いておいてね。ウチには入らないからさ。しかも、アタシの絵だけだって、膨大で、まるでゴミの山だっちゅーのに、ったく、どこに置けっていうのよ。

キモチワルイ魔物たちが
木を取り囲んでいる作品。
宗教上の意味はあるのかもしれない。

◆◆◆ 一応ね、注意事項 ◆◆◆

とりあえず、娘としての助言その一

『ああ、ツアーの市内観光ね。そんじゃ、みやげ物屋を巡り歩くってことだから、何にも買っちゃだめだよ。粗悪品を高く売られるからね。布はアタシが少しもっているし、欲しいものがあったら、いいのを探しておくから』

などと、日ごろの親不孝を一日で回収しようという魂胆である。

おほほほほ。

パックツアーの基本は、市内観光ツアーなる企画。

中心となるのは、『高い土産物屋巡り』

ツアー会社はガイドさんやタクシーの運ちゃんと安く契約しているので、彼らも、更なる日銭を稼ごうと、バックマージンの多いお店で、観光客に、土産物を必死に買ってもらおうとガンバルのであった。

アタシ的には、いいモノなら構わないんだけどね、粗悪品なんだよねー。そういう店の品って。ったく。信じられないくらい、ひどい品もある。

鷲、キモチワルイ木のお面が連続している作品、お魚・・・などなど。

◆◆◆ 孝行娘の下見 ◆◆◆

『俺のコレクションにふさわしい木彫があれば、一個欲しい』などと真顔で申し出る父のため、不肖の娘は、木彫り店の下見に出る事にした。

どの国だってそうだが、短い時間でいいものを探すのは、外国では難しい事なのだ。

いいものは、埋もれてしまっている。もしくは、外人に買われてしまっている。だけど、何処かには必ずあるのである。どこにあるかを知らないだけなのだ。

ガイドブックよ、有良店の情報を乗せろ。売上三倍間違い無し。クレームのあった店を削る程度では、読者は他社に移ってしまうぞよ。おほほほほ。

もう、二年も木彫りの村に住んでいながら、木彫りの店など一つも知らないのだ。

品質も信用していない。あんな同じ品ばかり作っているのでは、芸術品とは呼べないぜ。

しかも、チェンソーで朝っぱらから木を切断しやがって、ウルサイちゅうのっっっ。

そんなこんなで近場は避けて、ドラちゃんに相談する。
ドラちゃんは、昔木彫り職人だったのだ。

『そんじゃ、オレの村に来てみたらどう?』と、例のごとく、自分の周辺でケリをつけられてしまう。

まあいい。とりあえず、見てみないとなんとも言えないからだ。少なくとも、コモドドラゴンとイルカだけは避けたい気持ちでイッパイだった。

キモチワルイ顔のオブジェとお魚。

◆◆◆ センセの店に到着 ◆◆◆

このページで紹介しているのは、ドラちゃんの木彫りのセンセが働いている木彫りのお店。

おおっ。キモチ悪い木彫りがイッパイだ。

真っ当なのは一個も無いぜ。

ここまでは、予定通りである。

とりあえずの値段も聞いておく。値段は確かに安い。

しかしねー40kgもある大作はさ、持って帰れないだろう。

その辺のところ、ちっとは考えたほうがいいんじゃないのかなー。

まあ、飽きちゃうんだと思うけどね。小さい作品ばっか作るっていうのもね・・・。

でも売れないだろう。これは・・・。

◆◆◆ おおっ。お魚が ◆◆◆

水族館のように、イロイロな魚が舞っている。

竜宮城のようだねぇ。(ウソ)

まあいい、しょっぱなから、いい木彫り店が見つかるほど、バリ島は甘くはない。

何度も足を運んで自分の目で良し悪しを判断できないのなら、買い付けなどやってはいけない国なのだ。

とりあえず、木彫りの師匠にお世辞を行って、店を出る。

その後、ドラちゃんは、木彫りの村をゆるゆると走ってくれた。

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