◆◆◆ 012 銅版画の下準備 -その1 ◆◆◆
◆ グラインダー「ピカピカ」くん ◆
銅版は、大家さんの親戚という銀細工の家に、磨きに出していたのだが、最近、やりたくないと言ってきた。
理由は、銅版を酸に漬けて、手で磨いていたので、小僧共が辛すぎて、国に帰ってしまうかららしい。
銅版磨く機械持ってるって言ったじゃない。ウソつくからそういうことになるのよ。ったく。結局とばっちりを受けるのは、アタシなわけで、本当にアタマに来るわね。
こんな機械の金位、アタシが出して、磨きを頼んだってよかったっていうのにね。もう頼まないけどさ。
バリにも、グラインダーがあることは知っていたのだが、インドネシアの名前もわからないし、何処で売っているかも不明なので、自力で買いに行くのは難しいと判断し、日本から持参することにした。(重)
◆ 銅版を磨く道具 ◆
銅版画の下準備では、銅版の絵を描く側をツルツルに磨かなければならない。
こちらの銅版は、雑貨屋にそのまま置かれていて、錆びていたり深い傷があったりする。その傷を磨きながら取り除かなければならないのだ。
銅版は、大きな板ごと購入し、銀細工屋にカットを依頼する。
ヤスリを「ピカピカ」くんに装着し、水と、右にある「ピカール」をひと垂らしして、スイッチオン。
銅版は、ツルツルになってくれる。ああ幸せ。
そのあと、またピカールをつけて手で磨いてから、グランドを塗る作業に入る。
磨かれた銅版は、磨いてから、サッと醤油につけたあと、水で洗い流してよく乾かし、新聞紙に包んで保存しておく。
◆ 紙の準備 ◆ 見え辛いが、中央にあるのがスチール定規。これは、こちらで購入したもの。
紙は、銅版より8センチ位大きくカットする。
「スチール定規でカットすると、切り口がギザギザになり、味がある仕上がりになる」と、学校で教わったので、アタシも、これを鵜呑みにして、定規で切ることにしている。
カットした紙は、そのまま一晩水に漬けておく。こうすると、紙についたノリがはがれて、紙がやわらかくなり、インクの乗りがよくなるのである。水の漬け方が少ないと、うまく印刷できないのである。しかし、水につけすぎると、紙がやわらかくなりすぎたり、カビが生えたりする。うーん。
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