バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ お礼、一度死んだ男に頼んでゐる ◆◆◆


『ぶうげんびりあ』の執筆が八十ページまで完成し、オットに校正を頼む。

オットは、初めのウチは『校正してもいい』などと言っていたので、大量にプリントアウトしたというのに、三週間経っても、読む気配は感じられなかった。

アタシが、『それじゃ、校正は別の人に頼む』と提案すると、『出版社に持ち込んだらどうだ』と言い出した。

『どうやっても、自分では読みたくない』という決意の表れだった。『アナタの書いた文や本や、電子出版なんて、そんなの、どうせうまくいきっこないですから、オレは読みたくありません。キッパリ!』ということのようである。

しかしながら脳ミソの足りないアタシは、そうは思わなかった。『出版社かぁ。でも、いきなり行ってもムリだろう。コネがあるわけでもないしなあ。そういえば、元出版社勤務で、現在バリ島に長期滞在している人がいた。とりあえず、彼に聞いてみよう』と、メールを送ってみる。

われながら、ノー天気な性格である。

そんな事とは知らないJさんは、UBUDまで、ニコニコとやってきたのであった。

お願いごとがあるのに、呼びつけるとは、かなり図々しい生き方をしてきたものである。

『私は、一度死んでいるので、今度死ぬまでは、好きなように生きようと思うんです。』

Jさんとは、久しぶりに会ったというのに、いきなり、一度死にかけた話を聞かされてしまう。

『ああ、それで、バリにいらっしゃったんですか。』

Jさんが、バリに住みはじめた謎が解けてくる。

そういう重大な『キッカケ』が無ければ、どんなに憧れていたって、南国で暮らしたりはしないものである。

しかしながら、Jさんはバリ島を選んだおかげで、以前東京でお会いした時よりも健康そうに見えた。野菜中心の食事や、適度な運動をし、日に焼けたためだと思う。

とりあえずは、お互いの、『バリ暮らし』の話で盛り上がる。外国暮らしというのは、暮らしやすい部分と同じ位に、苦労も絶えないものなのだ。

雑談の最中には、ビールを大量にお出して、酔っ払った頃に、原稿の話を切り出してみる。Jさんは、快く読んでくださるといい、原稿を持ち帰って下さった。

やはりアタシは運がいい。

早速原稿を読んでくださったJさんは、稚拙な文に、アドバイスもしてくださった。有難い。

やる気を無くしていた最後の二十ページを、一旦完成させようと思い直す。机の上をちょこっとだけ片付けて、コピー用紙に、絵を描き始めたり、Jさんのアドバイスに従い、文を手直ししたりして、どうにか目標のページ数まで、進めることができたのであった。

感謝の気持ちでイッパイになる。

『Jさん、どうもありがとうございました。』

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