バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 095 / どんな線にも思いが詰まっている ◆◆◆

どんな線にも思いが詰まっている

それぞれのアーティストには、線に対する、それぞれの思いというのがあるんじゃないかと思う。

例えば、ヌードモデルを見て、デッサンをしている、アーティストには、自分の目指している線というのがあるはずなのだ。

どこまでもみずみずしい彼女の裸体は、角張ったところがないし、柔らかい。 どんな画材で描くにしたって、彼女の肉体美は、見る人に伝わらなければならないと思う。

この絵は、筆ペンで、ちゃんとした紙に描く前の、構図の練習に描いたものである。

何気なく描かれているように思われることだろうが、本番の紙に描く前には、実は、何枚も描いている。

紙の中に全身が入る構図を、ボールペンでまず描けるようになってから、大きな紙に筆ペンで一気に描く。

大きな紙は値段が高いので、緊張が走る。そして、だいたい失敗してしまう。

それは、紙の値段が高い事を気にしすぎて、失敗を恐れて描いているからに他ならない。煩悩というのは、どんな場面にも顔を出してくるから困る。

ヌードのデッサン会で私が身に付けようとしているのは、『迷いの無い線』と『私だけのフォルム』である。

例えば、後ろ姿の絵だったとしても、『これは、私が描いた絵だ』ということを伝えられなければ、将来画家として生計を立てることはできないからだ。

どんな被写体も写真のように描けるからといって、売れるわけでも、誉められるワケでもないのが、この世界のようだ。

『自分にしか描けない絵を何枚残せるか。』

全ての画家の到達すべき道なんじゃないかと思う。

ヌードデッサン会では、下絵を描かなくても、一度で、被写体の形を一気に捉えることのできるスキル。

素人のアタシは、当面は、これを目指すことになる。

それまでは、例えば、裸体のデッサンに飽きてきたとしても、休まずに続けようと思う。

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