バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 094 / ケイティを描いてゐる ◆◆◆

ケイティを描いてゐる

セニワティのヌードデッサンに来ていてた、カナダ出身の『ケイティ』。セニワティには、あまり若いアーティストは来ないのだが、珍しく彼女は若かった。

ウエーブした長い髪や、ちょっとだけ日に焼けて赤くなった頬の色が美しい。

デッサン会が終了したとき、アタシは思い切って、彼女にモデルになってくれないかと頼んでみる。

彼女はバックパッカーの一人旅で、UBUDの安宿に泊まっているという。一人旅で時間を持て余しているのか、モデルの依頼を快く引き受けてくれた。アタシも、イソイソと彼女を描きに行く。

そういえば、服を着たモデルを描くというのは初めてだった。『服を着た女』というのもいいもんだねえ。

彼女は、白人さんなのに、肌にシミも無いし、日に焼けないように注意しているのか、色も白いままだった。

ちょっと金髪っぽい髪に、青味のあるグレーの目を持っている。そして、何よりも、カナダ人だというのに、スレンダーなのである。

一度、カナダに旅行に行ったときには驚いた。とりあえず、会う人全員が太っているのである。

絵を描きながら、彼女の家族の事などを話す。母親は、とても『ストロングでパワフル』なのだそうだ。カナダ人らしく、巨体に違いない。遺伝子には逆らえないから、彼女も結婚して子供を産んだら太るに違いない。

彼女も、遺伝子の事は解っていて、食べ過ぎないように、気を遣っているようだった。

日本ならともかく、カナダのように、一回当たりの食べ物の量が多い国で、食事を制限するのは至難の業だからである。

彼女のデッサンは、なかなかうまく描けなかった。それなりには描けたと思うのだが、彼女の透き通るような美しさは、私の絵からは伝わってこなかったのだ。

家では、彼女の顔を思い出して、更に何枚か描いてみる。そして、更に、彼女のデッサンをもとに、油絵も描いてみる。下絵の方が、まだマシという位である。下絵と同じ構図にするために、顔は何度も描き直された。

油絵で人間を描くのは、まだ慣れていないので、なかなかうまく描けない。洋服に比べて、ヌードはカンタンに描けていいなとも思う。使う色も少なくて済む。

アタシの絵には遠近感が無いし、技術的に未熟なので、服のシワだとか、質感とかが、まだうまく表現できないのだ。

まあ、そのうちに、そういう部分も描けるようになってくると思う。油絵はまだ始めたばかりだし、絵の大部分は、技術が中心となって作られるからである。

 

技術は、必ず習得できるものなのだ。

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