バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 082 / 消えかけた蛍光灯 まだ頑張っている ◆◆◆

消えかけた蛍光灯 まだ頑張っている

バリの夜は暗い。どの位暗いのかというと、日本の田舎の夜位真っ暗なのである。

当然に、UBUDの街中には街灯もあるし、ショーウインドーなんかがライトアップされるということもある。

それでも、一本細道に入れば、もう真っ暗。田んぼをぐーっと入った家などは、夜にバイクを走らせるのは危険である。

モチロン、宿の中も暗い。何故暗いのかといえば、電気容量が限られているからである。

バリ人の一般家庭に配分されている電気容量は、チョッピリで、例えば、テレビと冷蔵庫と洗濯機は同時に使えないのだそうだ。

こちらの家電製品は、安いけど、電気食いそうだもんなあ。電気料も安いしなあ。仕方ないか。

百ドル以上の宿であっても、部屋が暗いということは多い。藁葺き屋根のバンガローで、大理石張りだからといって、部屋が明るいとは限らない。

そういう、『田舎めいた演出が、バリって感じがして好き』という観光客も多いらしい。観光業は奥が深い。

どちらにしても、日本人で、夜、部屋が暗いと嘆いている人は多い。安宿に遊びに行くと、『ガイドブックを読む事も出来ない』などと、愚痴られるのだ。

『あーた、一日三百五十円の宿に泊まっているんだから、部屋が暗いのは仕方ないでしょう。』

とアタシは言いたかったが、言わない事にする。

一応、『バリでは、みんなそう。高い宿でも部屋は暗いもんなのよ。蛍光灯に電球を替えてみたら?』などと答えて、薄笑いを浮かべる。

しかし、三百五十円の宿に泊まっている客は、たった百円の電球だって買ったりはしないことを知っている。

なんだか、みみっちい話になってきた。

しかしね、二ヶ月も滞在するんなら、電気スタンドぐらい買ったらどうかと思う。

たった一個、電気スタンドがあるだけで、本も読めるし手紙や旅行日記も書ける。安宿の生活は、ぐっと充実したものになるのである。

部屋が暗いと、帰りたくない。だから、明るいレストランなどで夜更けになるのを待ったりしなければならない。

その方が、電気一個の値段より、よっぽど高くつく。ウチは酒飲んじゃうしなあ。マハールスカリ。

このイラストの電気スタンドは、まだ家を借りる前に買った品である。オットは、本を読むためにバリに来たからである。

とりあえず、暗い部屋には、電気スタンドは必須なのだった。

このコの字型の蛍光灯は、扱い辛く、電球を取り替えるのも大変だった。ウチのオットは、『デザインが気に入らないし、でか過ぎて、バランスが悪く倒れるから』と言い出し、更に、自分専用の小さい電気スタンドを買ってしまう。仕方がないので、アタシのアトリエで使うことになった。

雨の日は、豪雨になることも多く、そんな日には、空が真っ暗になるので、絵を描いたりハンコを作ったりするときに点けるのである。

しかーし、バリはそんなに甘くない。

豪雨の日は、停電と決まっているからである。

理由は、稼動中の電気設備に雷が落ちると、被害が大きいので、どうやら、電力会社が電気の供給を停止してしまうらしいのだ。

 そうすると、豪雨だというのに、暗い部屋で、ぼんやりとしなければならない。テレビも見れないし、本も読めない。

そんな日は、かすかな日の光で、足踏みミシンを踏んだり、散らかった机の上を片付けたりしようと思うのだが、結局ぼんやりしている時間の方が長かったりもする。

この前、蛍光灯がチラチラとして、電気が消えてしまったことがあった。

電球を買わなくちゃなどと思いながら、長い事放置してしまう。球が切れたのを忘れて、また点けてしまう。おおっ。電気が点くではないか。

『よしよし。ガンバレよーっ。』

と、電球を励まして、また一枚、絵を描くのであった。

 なんか、『Rica’s Bar』みたいだわぁ。

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