バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 078 / 朝三度も供えている ◆◆◆

朝三度も供えている

バリ島で、神様にお供えを供えるのは、『イブ』の仕事と決まっている。

『イブ』というのは、バリ島の主婦のことである。

バリの女房がいい女房かどうかという評価は、『神様へのお供えが上手く作れるかどうか』で決まるといっても過言ではない。

イブ達は、前日もしくは、当日の朝、神様に供えるお供えを作り、決まった場所に供えて回る。お供えを置く場所は、家によっては五十箇所以上ある場合もある。

UBUDでの宗教行事は、想像以上に多い。行事ごとに、お供えの形や、種類も異なるので、お供え作りには、知識も経験も必要となる。女の子も小さい頃から、家のお供え作りを手伝って、嫁入り前までには、お供え作りもマスターしておかねばならないのである。

お供えがちゃんと作れなければ、大家族の嫁に入るワケなので、当然に姑にもいびられるという構図が見えてくる。

女性がこの国で、幸せに生きるためには、お供えを作るというのは、必須の、スキルなのである。

アトリエで絵を描いていると、早朝から十一時位までの間に、イブが三度も回ってくる日もちょくちょくある。そういう日のイブは、いつもよりいい服を着て、高いサロンを腰に巻いており、とても美しい。私としては、遠くから、お供えを置く姿を眺めては、一枚描かずにはいられない。

美しく歩く姿とは裏腹に、お供えを置いて回る作業というのは、激務である。頭には、種類の違うお供えを大量に乗せたり、線香を供えたり、時には、果物を山積みにした重いお供えの場合だってあるのである。

毎日、お寺まで、お供えを置きに行き、長距離を歩いたり、しゃがんだり立ったりを繰り返す。

自然と屈伸運動やウォーキングを繰り返せるので、バリ人のイブが運動不足ということはないだろう。

大きなお供えを頭に乗せて歩いたりもするので、姿勢もいい。足腰が、自然と鍛えられていて、ヒップがキュッと引き締まり、健康的な、美しい体が作られてゆくのである。

バリ島で、宗教行事が大切にされているのは、国が観光客目当てに、宗教を利用しているということもあると思う。

特にUBUDでは、観光に、宗教イベントへの見学を組み込み、外貨を稼ぐ事に成功している。

本来であれば、神様に供えるはずの奉納芸である、ガムラン演奏や、少女の舞いなども、観光客向けに特化して、定期的に公演をしている。毎週の公演で四百人もの観光客を集め、五万ルピアの入場料を取れば、1ヶ月辺りの楽団への収入は、八百万ルピアとなる。楽団のメンバーで山分けしたとしたって、バリ人の生活を考えると、大金が転がり込むのである。

その金で、それぞれが外人向けの宿とか、土産物店などを始めて、また、収益を得るという構造が出来上がってくる。バリ人は、観光客が金を落としてくれると期待し、とりあえず、親切にしてくれるのである。

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