バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 070 / 猫と待って居る ◆◆◆

猫と待って居る

猫が待っているのは、食べ物と決まっている。

であるからして、この俳句は、猫と誰かが、食べ物を待っているという句なのである。

そして、アタシが詠んだ場合、食べ物を出すのはアタシで、待っているのは、オットと猫ということになる。

俳句というのは、こんなに短い言葉なのに、その言葉の裏にあるイロイロな事まで表現できるというのが、スゴイなと思う。

猫の場合、食べ物が出てくるまでは、眠ったりはしない。エサをもらう場所で、座ったり、丸くなったりして、アタシをジっと見つめたり、『ナア』とカワイク鳴いてみたりする。

唾液が出始めると、体を舐め回し、更に腹が減ると、台所で、アタシに鼻をこすりつけたり、料理しているアタシに蹴られたりもする。

そして、それでももらえないときには、もう一度丸くなって、エサが出てくるまで、皿の辺りでジっとしているのである。

もう一方のオットはといえば、自分でビールをシュポッとあけ、冷えたグラスに注ぎ込む。『ツマミ』などと催促しながら、夕方のテレビ番組を注視する。

ボチボチとツマミ兼おかずを出し始めると、今度は、『箸』とか、『醤油』、『酢』などと、極力短い言葉で用件を告げるのだった。

『オットよ。たまには自分で出したらどうだい。』

とアタシは、内心思っているが、オットも、

『たまには催促される前に出したらどうだ』

と思っているに違いない。

しかし、短い言葉での用件伝達。

これも、『俳句に近いものがあるな』などとまた一句ひらめいたりもするからなぁ。

創作活動というのは奥が深いと思わずにはいられない。

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