バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 065 / 迷いこんで住みついてしまったよ ◆◆◆

迷いこんで住みついてしまったよ

病気なのか、羽根がボロボロの鶏が、我が家にやってくるようになった。どうやら、近所で生まれて、捨てられたらしい。

病気の鶏は、バリの人も食べたりせず、かといって、無益な殺生も好まないのか、敷地外に放し、自然に死ぬのを待つのが普通のようだ。

敷地の外で何日か放置され、弱った所をイヌやネコに殺されて、その場で食われるという、自然に任せた解決方法である。

彼は、姿がボロボロなので、『ボロ』と名づけられる。しかし、羽根のはえ方も不規則で、ヨロヨロと歩く鶏なのに、気性は凶暴そのもの。とても病気とは思えない激しい気性の持ち主だった。

奴は、トサカの生える前から我が敷地内をナワバリとするようになった。

ウチには、他のニワトリもいないし、今は、シロも来ない。残飯をもらいに来るネコは、無抵抗。彼は、もう我がモノ顔でウチの庭を闊歩する。

トサカがだいぶ大きくなるまで、我が庭を棲家とし、体を干しているネコをツツいて排除したりもする。お供えをついばみに来た、ハトを追い立てる。敷地内に入ってくる他のニワトリを蹴散らすと、やりたい放題であった。

ボロは、トサカが立派になってくると、鳴き声の練習に入る。

『コッッッカアー・・・コッコッッッッカァー』

やはり、劣性遺伝子の持ち主なのか、いつまでたっても

『コケコッコー』とは鳴く事は出来なかった。

我が庭の無料食べ放題の虫や雑草の実を喰らい、体もだいぶ立派になってくる。我が庭の虫だけでは足りずに、近所中の家に入り込み、アチコチでタダ飯を喰っているようだった。

 そして、ボロは、突然姿が見えなくなってしまう。きっと、近所のオヤジにでも食われたのだろう。儀式に金をかけすぎてしまい、日々のおかずに困り果てたに違いない。

ニワトリを買いに行くのを任されたオヤジが、小遣い欲しさに、ボロを絞めて、お供えの金をガメたのかもしれない。   

もしかしたら、ニュークニンの、弱小闘鶏に出したのかもしれないなー。凶暴だったからなぁ。(闘鶏に出したということは、結局負けてサテになってしまっています。)

どのような断末魔であろうと、人間の胃袋の中に吸収されたことには間違いがないようだ。

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