バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 064 / 少し驚いたやふな顔をしてまた眠る ◆◆◆

少し驚いたやふな顔をしてまた眠る

ウチの猫は、毎日二五時間以上は眠っている。

彼女は、時々、身近な物音で目を覚ます。

天井裏で、隣の猫がネズミを捕る音

マンゴーがブチンと切れてゴンと落ちる音、

熟れた椰子の実がパコンと落下した音

ウラのブタが売りに出されるときの悲鳴

リスがジャンプしたときに立てるバサバサという音

庭でニワトリがもめている声

バロンとバラガンジュールが家の前を通る音

バッソ屋台が、スプーンで皿を鳴らす音

アイスクリーム売りの『プーパー』という音

オットが家に入ってきた蜂をハエ叩きで叩く音

大きな風が吹いて木々がザワザワという音

雷がゴロゴロ ドカンと近くの家に落ちた時の音、

アタシが皿をガチャンと割った時の音

そんなとき、寝ていた彼女は『ふっ』と顔を上げて、アタシの顔を見る。

『自分の周りは安全だ』と確認すると、胸の辺りを二回程舐めて、緊張をほぐす。そのあと、宙をぼんやりと二秒見て、何事も無かったように、また眠ってしまうのだった。

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