バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 063 / ネズミさま、とうりゃんせ ◆◆◆

ネズミさま、とうりゃんせ

当然に、バリにもネズミはいる。

大量にいる。我が家にもいる。

こちらのネズミは、薄茶色で、野ネズミという感じである。巨大な奴もおり、かなり強いのが特徴だ。

バリ人宅やレストランやワルンなどの『ハリ』に取り付けられた『バリ式神棚』には鳥も来ないし、猫も登れない。まるで、ネズミ専用のレストランのようである。

ネズミは、天井の大きな『ハリ』を伝って、『馴染みのレストラン』へ直行し、いつものようにお供えを食べ、もと来た道を帰るのを日課にしている。親子連れということもある。

それらを巡回して食べ歩く事で、彼らはかなり大きくなっている。

こうなると、日々のお供えが、ネズミを増やしていると言っても過言ではない。

しかし世の中はいい事ばかりは続かない。

お供えで胃袋を満たした帰り道には、当然に猫が待ち伏せている。ネズミは、大体同じ時間に食事に出るので、猫もネズミが帰る時間に待っている。

行きはヨイヨイ 帰りは怖い。怖いながらも・・・というフレーズがピッタシだ。

我が家のネズミを退治してくれるのは、当然に、お隣の猫である。

我が家の猫は、ネズミが怖いのでネズミやコウモリを捕まえられないのだ。

猫としての、自覚が足りないこともあるが、こちらのネズミが凶暴だからということもあるように思う。しかし、一番の理由は、腹がイッパイになるまで、エサを与えているという事だと思う。自業自得なのだから仕方がない。

台所の屋根の上では、毎晩、『ガタガタッッ、ドタッ』という大きな音を立てながら、命を賭けて『とおりゃんせ』が繰り広げられ、ニュークニンの生態系は守られている。

お隣の猫が、得意そうに、ネズミをくわえて、我が家のブロック塀の上を帰って行く姿を何度も見たことがある。

『おおっ、エラそうだぜ。』

そんな中、ドタバタの音や、『チチチチチチ』というネズミの断末魔の声すらも聞こえないのか、我が猫だけは、何事もなかったように眠りコケているのであった。

しかし、アタシもオットも彼女と同じように、働いていないのだ。彼女だけを責める訳にもゆくまい。

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