バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 060 / 短くカットされる暑い午後 ◆◆◆

短くカットされる暑い午後

我が猫は、野良猫上がりのくせに、ちょっと毛足が長いのだ。日本にいたときにも、春になると冬毛が抜ける前に、ベランダで毛を刈るのが習慣になっていた。バリ島には冬が無いのだが、猫は時々、冬毛を伸ばしてしまい、ムクムクになっている。

毛が伸びてくると、かなり暑いのか、オットの散髪をしている横で、『自分も刈ってもらおう』とばかりに、順番を待っていることさえある。

よく晴れ上がった暑い日には、猫を新聞の上に乗せ、大きなハサミでザクザクとカットを始める。

自分で散髪を待っていたくせに、彼女は毛を刈られていることに腹を立て始め、庭の中に逃げ出したりもする。そして、捕まえられて、庭でも、更に散髪を続けられるのだった。

仕上げは、彼女が病院の次に恐れる、シャンプータイム。水を張ったタライにドボンと入れられ、抵抗も空しく、カラダをゴシゴシと洗われるのだった。

命賭けのシャンプーが終わると、水を絞られて、タオルに包まれ、テラスの上に乗せられる。

彼女は、何事も無かったように体を舐め始め、毛についた水分を排除する作業を開始する。体は、水分がほぼ乾燥するまで舐められ続けられるのだ。

しかし、灼熱の太陽は、ジリジリと彼女を照らし、あっという間に、乾いてしまう。さすがバリである。

一仕事終えると、彼女は、サッパリとした顔で、柱に臭いをつけたりする。

そして、何事も無かったように、また深い眠りにつくのであった。

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