バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 055 / ブタが見送っている ◆◆◆

ブタが見送っている


見送られているのは、やはりブタである。

裏の家には、ブタ小屋があり、何頭かのブタが飼われている。子豚時代に引き取られたブタ共は、食べごろになるまで、ここで育てられるのだ。

ブタは、小屋から出されるということはなく、小屋には屋根も無いために、雨が降ると、彼らは、『ブウブウ』と不満を申し立てる事が多い。

さすがにバリである。ブタを飼うのに屋根は不要なのか。まるで野ブタ状態だ。しかしながら、UBUDは結構涼しかったりもするので、ブタも時々風邪を引き、クシャミする声が聞こえたりもする。

村で結婚式があるとか、重要な儀式があるときに、このブタは、買い取られる。男達は、六人程呼び出され、素手で一番太ったブタを小屋から出す。(ブロックを積んだだけなので、扉なども当然に無い)

外に出されたブタは、更に、足を縛られて、逆さ吊りにされる。

パニックになった『イケニエのブタ』は声が出る限り泣き叫ぶ。

『ブヒヒヒッ。ブヒヒヒヒヒーッ。』

悲鳴を聞きつけたお友達のブタ達は、全員がブロック塀の上に前足を乗せ、身を乗り出して、友の最後の姿を見送ったり、隣のブタと何事かをささやき合っている。きっと、『太らないようにしよう』などと話し合っているのだろう。

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