バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 049 / 客のいない宿のプールで泳いでゐる  ◆◆◆

客のいない宿のプールで泳いでゐる

昼食を、久しぶりに外で食べる。椅子の沢山ある店で風に吹かれていたのだが、この日は暑かった。座っているだけでも汗ばんでしまうのだ。

『こんな日は、プールにでも入りたいね。』などとアタシが言い出すと、オットも、『そんじゃ、近くの宿にでも行ってみよう』などと、話がまとまってしまう。

プールといってもイロイロある。UBUDには海が無い事もあり、プールがある宿というのは多い。

それなりの宿であれば、プールの広さや大きさもそれなりなのだが、我々にとっては、客がいなくてのんびりできるというのが、必須条件なのだ。

とりあえず、ウチの前のワルンの兄ちゃんが勤めている宿に行くことにする。以前、『一人一万ルピアで、泊り客で無い人にもプールを貸し出している』という話を聞いた事があるからだ。

案の定、よく手入れされたプールには、人っ子一人いなかった。ワルンの兄ちゃんに、プールを借りたい旨を申し出ると、奴らもニヤリとする。オーナーも出かけているらしく、奴等も人の設備を勝手に貸し出して、丸儲けである。商談は速攻で成立し、我々は、水着に着替えて、早速プールにつかる。

げげっ。水がお湯のように温い。仕方が無い。今日は、特別に暑い日なのだ。

水の循環口の前に座り、ジャグジーと勘違いしそうになりながら、ウチにもプールを作るかどうかという話で盛り上がる。

バリ島では、プライベートプールは、1個六千万ルピア(約八十万円)程度で出来るのだ。

バトミントンコートとなっているスペースは、まさに、プールに最適。プール付一戸建てかぁ。夢のリゾート暮らしだわぁ・・・。

しかしながら、プールを作ったとなると、大量の水が必要になる。今の井戸だと、深さが足りなくて、追加工事が必要になるかもしれない。メンテだって大変だ。タイルを洗ったり、水の中に落ちた葉っぱを掃除する小僧も雇わないとならない。プール用の薬も買わねばならない。

1回一万ルピアで借りる事ができるのであれば、プール建設費用で、二人で三千回入れるということになる。プールを作らずに、この六千万ルピアを預金すると、一年間で利子が十パーセントもつくもんな。利子だけだって、六百万ルピア。預金しておくだけで、一年間で三百回はタダで入れる計算になる。

辞め辞め。プールの話は無し。

近所にガラガラのプールがあるんだから、我がプールのように借りに行くべし。

プールに入ったり、プールサイドでくつろいだりしている3時間程の間、プールに入りに来た客は、一人もいなかったのだった。宝の持ち腐れとはこのことである。

そして、『この宿が、永遠に流行らないでくれ』と、内心祈っている二人なのだった。

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