バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 049 / 椅子の沢山あるカフェ 風に吹かれる  ◆◆◆

椅子の沢山あるカフェ 風に吹かれる

ザ・カフェという、辺鄙なレストランに行く。とりあえず村の中心部からは、車などでないと行けない為、いつもガラガラだ。

久しぶりに飯を食べに行くと、客もいないというのに、店舗は大幅に拡張されていた。よく見ると、家具屋のように、沢山の椅子やソファが、展示されているのである。

客がいないときには、きっとスタッフが昼寝をしたりしているに違いないというふうに、ソファなどが散らばっている。まあいい、人の店なのだ。アタシ達が文句をつける筋合いのものでもない。

我々が行くと、ウエイトレスの女の子は、『昨日も一昨日も、客はゼロだった。』などと、愚痴をこぼしはじめる。しかし、我々が行くたびに、その日に限っては、二組程度の客が入ってきては、昼食を取るのであった。

いつも客が来ないのに慣れているスタッフは、我々の何皿もの注文だけでなく、他の客の注文にパニックとなり、臨時スタッフに電話を掛けて呼び出したり、ついでに不足している野菜などの買い出しを頼んだりしている。うーむ。大丈夫なのか?

そして、しこたま待たされると、ボチボチと注文した品がテーブルの上に乗る。安価というのに、メチャクチャ量が多いので、残りをいつも、持ち帰らなければならないほどである。

そんなある日の昼下がり、家具職人と思われるオヤジがやってくる。ソワソワとしながら、家具やカーテンを物色。店員が点け忘れたランプのスイッチなどを入れている。

インドネシア人かと思えば、イタリア系か、スペイン系の人が、日に焼けて黒くなったという顔だった。

彼は、店を一周すると、コーヒーを頼む。そして、電話が鳴り、どこぞに行ってしまう・・・と思ったら、客を連れて戻ってきた。

白人さんのその客には、店を一周させて、更にカタログなどを見せている。お客さんも、食い入るようにカタログを凝視。

『おおっ、バリでレストランなどを開業するか、家具の輸入を検討している白人だなっ。辞めておいた方がいいんじゃないのーっ』などと、まったく関係ない人たちのやり取りなのに、つい口まで出しそうになっている。

そんな様子を横目に、大量の皿の上の食べ物をどうにか胃袋に詰め込んで、食事を終わらせる。

ラテンオヤジがコーヒーを旨そうに飲むので、ウチもアイスコーヒーを頼む。

水音を聞きながら、風の通る、空いたカフェで二時間ほどくつろいでいると、観光客に戻ったような気になるのであった。

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