バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 014 / クリームシチュー食べる人も無く ◆◆◆

クリームシチュー食べる人も無く

シンガポールの食材コーナーを物色していたとき、脳ミソが全開になったオットは、『クリームシチューのルーを買おう』と切り出した。

『味が甘くて、酒には合わないし、そんなもん食ってられっかよっ!!』というのが、今までのクリームシチューに対する彼の評価である。日本ですら食べた事が無いのに、ホントに買うんっすか?

しかし、言い出したらオットの勢いは何人たりとも止められやしない。彼は、日本の味が沢山並んだ棚の前で、懐かしさでイッパイになり、身も心も幸せの絶頂なのだった。結局買い物カゴには、二個のクリームシチューを入れてしまっていた。

その後、何事も無かったように一年ほどが経過した。賞味期限切れ間近のシチュールーを発見したアタシは、とりあえず、シチューを作ってみる。我が家の圧力鍋は、五リットルも入る、ちょっと大きめのイタリア製である。

深く考えもせずに、レシピ通りに作ったら、五人分にもなってしまう。『おおっ。明日も明後日も食べなくちゃイカンな・・・。』

こんな非常事態だというのに、オットはシチューを一杯食べると、『僕はもう要りません、アナタが食べてください』などと言い出す始末。どうせこんなオチだろうと思ったよ。

ったく、無責任極まりない。

大きな鍋は、結局冷蔵庫には入らなかった。いつもは、ここでホーロー鍋や、タッパーに詰め替えて、冷蔵庫で冷やして保存するのだが、この日は、忘れてしまう。

カレーなどは、半日位は鍋に入れて保存できるのだが、シチューはそういうわけにはいかなかった。

次の日の朝、鍋を開けるとカビらしき膜とスッパイ臭い。げげっ。

火を通してチョコっと食べてみる。やっぱダメかな。

バリ島は、涼しいと思える日でも、暖かいのである。バリ人だって前の日の残り物を食べたりはしない。(残飯は、イヌやブタのエサにしています。)

そんなこんなで、それ以上挑戦する勇気も無く、大量のシチューは、土に返ったのであった。

 そういえば、あと一個のシチューのルーは、賞味期限が切れたというのに、棚の中で静かに眠ったままである。後で捨てようっと。

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