バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 007 / 自称ロンボク焼きのバリの壺 ◆◆◆

自称ロンボク焼きのバリの壺

S嬢と一緒に行った瀬戸物の店に、今度はオットと行ってみた。

S嬢の友達の『アジアン雑貨店の女将』が買ったろうそく立てをオットに見せると、『ウチも買おう』などと、ワケの解らない事を言い出し、同じ品を三個程買うことになった。バリでは、停電が頻繁に起こるので、そのときに、ムードを出すためなのだそうだ。

この手の品は、全くない我が家であったが、バンブーのテーブルの上に並ぶと、結構可愛かったりする。こういうのも、たまにはいいものである。

しかし、さすがに安いだけの品ではある。

三個並べてみると、色にはムラがあるし、穴の大きさもマチマチ。なんとも雑な作品で、まるで、子供が図工の時間に作った、粘土細工のようなのだ。

うーむ。これを日本に持ち帰って売っているのか。しかも、ロンボク焼きと言って売っているとは・・・。ま、ロンボク焼きだって、野焼きに近い形で、低音で焼いているに違いないのだ。作品の完成度は、似たようなものなのかもしれない。(→見たことありませんので、なんともいえません。)

ロンボクまで焼き物を買いに行く観光客だって、そう多くはないだろうから、『これがロンボク焼きだ』と言われれば、『これがロンボク焼きなのか。初めて見たが、素朴な味わいで、模様も素晴らしい。』などと、物知り顔で、エラソーにウンチクを語り始めるに違いない。売るほうも売るほうだが、買うほうも買うほうなのだから、折り合っていると言えなくも無い。

しかし、バリの奥が深いのは、ここからである。早速短い『ろうそく』を買って、停電に備えて予行練習をする。

げげっ。ろうそく、火が点かないのがあるっす。さすが、十二個で一万ルピア。ろうそくみたいな、単純な製品であっても、真っ当に作れずに、粗悪品が混じってしまうのだ。

以前テレビで見た、日本の電気メーカーが初めてアメリカに家電製品を輸出する時の話。アメリカ側にしてみれば、機械物の輸入には、不良品のパーセンテージも織り込んでいるのが普通だったようだ。『不良品はニパーセントまで』という契約の内容を見て、日本の電機メーカーの職員は、真顔で、『不良品のニパーセントは、どうやって作るのでしょうか?』と、アメリカのお偉いさんに聞いたらしい。日本側は、不良品を、正常商品に規定のパーセントを混ぜて輸出しなければならないと勘違いしていたようなのだ。

恐るべし日本商品。丈夫で長持ち、しかも安価。これは、不良品無しの完全な商品を目指して、国民一丸となって、日々努力した成果なのだ。この情報の量や質の高さは世界一だし、日本人は、もっとそれを誇るべきだと思う。

それに引き換え、ろうそくだって、まともに作れない国、インドネシア。

日本の常識を持ち込んでも、ムリだと解っているつもりだった。しかし、理解できても受け入れることは出来ないものだなのだと感じさせられる事も多い。

外国で暮らすということは、今までとは違う情報の中で生きるということなのだ。情報の質や量に差がある場合、情報量が多い方は、情報量の少ない方を愚かに見下げたりするものである。

しかし、どちらが悪いということはない。この国に住むのであれば、ろうそくにも不良品が混じっているという事実が正しくて、そのろうそくを、修理して使い、無駄にしないというのが、正しい生活なのである。それでも、インドネシア人よ。もうちょっと頑張った方がいいぜ。

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