バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 006 / 魚を乗せる皿を買ったよ ◆◆◆

魚を乗せる皿を買ったよ

S嬢が一年振りにバリに来ることになる。彼女は、アジアの雑貨のお店の女将と共にUBUD入りし、彼女の商品調達の旅に同行することになっていた。

アタシは、もう二年半もUBUDに住んでいるというのに、土産物らしい品など、何一つ買ったことが無かったので、S嬢と女将と一緒に、UBUDを一周することにした。

バリ島での買い物というのは、行き当たりバッタリ的な所がある。ガイドブックに書いてあるからいい店とは限らないし、以前ヨカッタ店が、今回もいい店とも限らない。

新しい店がいいとも限らないし、昔ながらの店だからといっていい店とも限らない。現地在住で、品物の調達をしている人は、自分の知っている安い店など教えてくれるはずがない。

掘り出し物を見つけたり、安く買ったりするためには、自力で歩いて、自分で探さなければならないのだ。

女将が、『口コミで聞いた陶器の店に行く』というので、用も無いのについていった。バリの土は粘土質だから、まあ、この手の店があるのは不思議ではない。

皿の他、あらゆるサイズの壺や、植木鉢などが、うなぎの寝床のような場所に展示されており、どれもホコリをかぶっている。

棚には、ずいぶん前に作られて、ずっと売れ残っていたと思われる、魚用の皿を発見。バリのすし屋などでよくみかける、四角い皿である。

日本から魚用の皿を持参するのを忘れて、困っていたアタシは、一つ求める事にした。

別に、皿を一枚買った話であれば、特に取り上げる事もない。

アタシが興味を持ったことは、陶器を作ったり、陶器に描画する作業をする工房が、UBUDの近くにあるという発見である。

特に心を動かされたのは、絵のような白い模様を彫って焼いてある、黒い陶器。

店の棚でホコリを被っている黒い皿たちの模様は、どの絵も下手くそで、心が惹かれない。なんとも、見よう見真似でお手本を写したんだけど失敗しました。売れ残りましたという品である。

それなのに、絵があるというだけで、ちと高いことを言われてしまうのだ。

もっとちゃんとした柄を描き込めば、それなりの作品になる。

ピカソの写真展と同時に行われていた彼の陶器展では、一点三十八万円で販売されていた。アタシの作品であっても、三千八百円位では売れるだろう。(一パーセントかぁ。安すぎるぜ。タピ、価格設定には根拠無し。)

まあ、三千八百円というのは、別にしても、陶器に絵を描いたりするというのには、心が惹かれてしまう。ボールペンや、エッチングなどで、線の描画には特にこだわっているということもあり、バリにいる間に、この手の作品も、何作か挑戦したいと考えているのである。なぜ、バリにいる間にやるのかというと、日本でやろうとすると、高くつくからである。

しかしながらね、『値段が高いからという理由で、自分も黒の無地の皿を買った位だからね、やっぱ、売るのは無理かもしれないなぁ。』などと現実を見つめたりもする。しかも、魚を食べ終わって出てくるのが、ヌードの絵じゃあ、ますます買う人がいるとも思えない。

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