◆◆◆ 1781 ★ と、ある男が訪ねてくる ◆◆◆

インターネットラジオFM北千住 ときどきゲリラ的に収録・生放送(あとはいつでも見れますよん)

2013.6.10.

その男は、突然電話をかけてきた。

そうして、私が作った、まちかど美術館の地図を見たという話を4分50秒ほどする。

私は、見てくださった事に礼を言い、新しい地図がまだあるので、時間のあるときに、取りに来てください。

などと話したのが3-4日前のことである。

本日、その男は「T夫」と名乗り、ギャラリーを訪ねてきた。

アタシは、不在のときもあるので、連絡をしてから来て欲しいと頼んだのだが、当然に自分の都合で勝手に来るのが下町の人の常道だ。

そうして、ああ、電話の人だなと、ピンとくる。私のギャラリー入り口には、二メートル大の看板が二台も置いてあり、かつて無いほどに、恐ろしく入りづらい仕様である。怖くて誰も入れない。

オバケ屋敷じゃないってば。

という所に入ってくるのには、アタシに用があるとか、過去に来たことがあるとか、何か用がある、もしくは、アートが好きな人だけである。

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

男は、様々な話をする。

千住にあった、そのうレコードの話や、川上澄生の、《初夏の風》の話。

木村庄八が同級生だったし、そのイラストが好きだったという話。千住の旭町に住んでいたが、今は別の場所に住んでいるという話。

よくもまあ、こんなに話すもんだなと思いながら、絵の話ができる人が来たのは久しぶりだと思った。

以前、アタシのコレクションコーナーに、「初夏の風」を飾っていて、反応したのは、唯一、昭和サロンのマスターぐらいだもんな。

あの絵はどうしたかな。

気に入って、随分長い間、飾っていたけどな。(版画芸術の特集をカラーコピーした複製画です。キッパリ)

アタシに、「芸術とは何か」を教えてくれた絵の一つである。

軽やかな瞬間表現と、その絵の力強さ、美しさ、自由さには、今でも心が躍り、思い出すだけで嬉しくなる。

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

T夫「ボクは、木村庄八が好きなんですよね。」

オジャラ「どんな絵の人でしたっけ。」

早速ネットでググル。

ああ、この絵は見たことある。

というか、イラストレーターではなく、画家だろう。

アタシは、ギャラリーで配布していた、東京ステーションギャラリーのチラシを取り出して、T夫さんにあげる。

オジャラ「この人、画家ですよ」

T夫「永井荷風の墨東忌憚の挿絵の人ですよ」

オジャラ「ああ、その絵、見たことあります。軽やかな人間描写や、さりげない、自然な動きが素晴らしいですね」

T夫「いやぁ、ボクは、絵のことは解らないけどさ、この人の絵が好きなんだよね。」

それから、千住関連の新聞記事をスクラップしているとか、この筋の地図などを集めているという話をしてくださる。

オジャラ「今度見せてねーっ」

というように、縁というのは広がってゆく。

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

T夫さんに、抹茶を振舞うと、応援したいので、寄付金だという名目で、何がしかの(結構な額の)お金を払おうとするので、アタシは、タダでお金を頂くわけにはゆきませんから、このお金で、小さい作品を買ってください。

と申し出、数枚の、かなり解りやすい作品を持ち出す。

彼は、絵のことは解らないの一点張り。

まあ仕方が無い。アタシの作品は、最近はグチャグチャで、何がなんだかサッパリだし、昔の、薔薇の絵やなにかは、稚拙でつまらない。

あのときのほうが、絵は上手かったかもな。

とりあえず、何かを持たせないと、現金だけを受け取ったりしたら、絵が悪くなるよ。

そんでもって、結局、どの絵も気に入らない感じだったので、千住まちかど美術館の地図に書いたコラムの、赤門寺の作品を探し出す。(あ゛った。。。。)

最近作ったカットとか素描が山積みで、もう、見つからないかと思ったよ。

結局、右の、赤門と、お閻魔様が2枚で一枚の紙に描かれた品に決定。

T夫「この絵は何分ぐらいで描くんですか?」

オジャラ「3分ぐらいですかねー。クオリティーが凄く低いときには、作り直しますけど、この作品は、ノーギャラなんで一発です。」

アタシは、イラストレーターではないので、この筋のイラストは、頼まれたときか、必要なときに、チョロリと作るのが常。

T夫「何か、インスピレーションみたいなものがあったりするんですか?」

オジャラ「お閻魔さまは、ご開帳日が決まっていて、いつでも見られるわけではないので、ググった写真とか、自分で昔に撮影した写真とか見て作りました。門は、ネットの、誰か人の写真見た気がしますね。」

T夫「直接、現場に見に行ったりはしないんですか」

オジャラ「ああ、西新井の寺町の地図を作ったときなんかは、全部のお寺に取材に行って、現地で写真撮影して、確かスケッチもした気がします。ヘタ糞な絵なんですけどね。」

思い出しても恥ずかしくなるイラストで、本当に、嫌になる。

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

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