◆◆◆ 1702 ★ 千住芸術村からきたという三人組に襲撃される ◆◆◆

インターネットラジオFM北千住 ときどきゲリラ的に収録・生放送(あとはいつでも見れますよん)

2012.7.19.

この前、ギャラリーでゲームをしていると、「千住芸術村からきましたぁ。」

という、ヤング三人組がやってくる。

「おじゃらさーん、どっかいい飲み屋ないですかぁー」

などと言いながら入ってくるので、佳境のゲイムを中断し秘蔵の焼酎を一杯ずつ振舞う。

オジャラ「次から、飲む分は持ってきてね★ハートマーク」

アーティスト「このへんで、どっか旨くて安い店ありますかぁ」

オジャラ「そーねー、混んでる店なら、どこも安くて旨いはずだけどね。

店先のメニューなんかチェックしてね。空いてる店はやめたほうがいいかもん」

などと、アバウトな助言。

アタシは、このアタリで飲み歩かないのだ。(家でくつろぐのに慣れてます。)

そうして、この前来た若い作家さんの話になる。

オジャラ「アタシはさ、ここに来る誰にでも同じ話をするんだけどね、中には、体をワナワナと震わせて、アタシの話を否定する人もいるのよね。うふふ」

可能性の無い人に、助言を与えたりはしない。

かすかなる光が作品の中にあるからこそ、売れる絵とは何かという話をするのである。

オジャラ「たとえばさ、アナタの絵には、躍動感がないわね。もう少し動きに気を配ると、絵が売れると思うわよ」

などという話をしても、それが作家の逆鱗に触れるのである。

作家「ワタシは、そういう気持ちで絵を描いているわけではありません」

などと不のオーラ全開になり、怒鳴り散らし、体をワナワナと震わせて怒り、相当に気分を害して帰る人もいる。悪いことしたよなあ。そんなにイヤな気持ちを与えることになるとは予想だにしなかったからなあ。

こっちは、アナタの作品がおもしろいから、もう少しこうしたほうが売れるという話をしたかっただけなのに。

彼女は、対人のスキルももっと上げたほうがいい。

怒りをあらわにし、対象にぶつけて良いことは一つもない。

作家「躍動感って何ですか?」

とアタシに聞く人もいた。

アタシは、動きの微塵も感じられない、その人の絵に対し、「躍動感」も理解できない勉強不足の作家に、何を話せばいいのか分からなかった。

アタシは、「躍動感について、アナタにアタシが説明するのはカンタンだけど、自分で理解できなければ、手に入れることはできないからね、イロイロな絵をもっと見て、少し勉強してみてね。」

そう答えることにした。

絵は物凄く上手かったし、個性も感じられた。

が、どんな作家であっても、自分の絵に慢心しているうちは、画家ではないのだ。

自分の絵の足りないところに気づき、もっと良い絵になりたい。そう感じたその瞬間こそ、画家になる瞬間なのである。

私のギャラリーでその瞬間を迎える人もいる。

涙をポロポロと流し、自分の絵の稚拙さに打ちのめされるのだ。

アタシは、『泣いたからといって、絵が上手くなるわけではないからさ、悔しかったら、また一枚を描きなさい。』

そうなぐさめ、ティッシュペイパーを彼女に渡すのである。

芸術村の三人とは、イロイロな話をする。

たとえば、アタシの

「探トモちゃんとニセトモちゃん」

という作品がある。

奈良智美さんのニセ絵がヤフーオークションで売られたときの作品のコピーと、そのあと、彼のレゾネを出版するために撒かれたチラシをコラージュした作品である。

アタシは、その絵を台紙に貼り付け、ギャラリーのよく目立つ場所に貼ってある。デュシャンの泉やアヴィニオンの娘の写真と同じように、よく、作品の管理や自由度などの話をするときのネタに使うのだ。

オジャラ「どうして、奈良さんの作品に、ニセが出たんだと思う?」

S君「そりゃ、買う人がいるからでしょ。作るほうも儲かるし」

オジャラ「作品が安易なのよ。カンタンに作れるでしょ。

鏑木清方の作品だったらさ、そんなにカンタンに真似できないでしょう。そういう、他の追随を圧倒的にできなくするような技術も、作品には必要だって教訓なのよ。」

みんな、ああそうなのかという顔をして、焼酎をゴクリと飲む。

福田平八郎 漣?

そう、ニセを防ぐには、レゾネを作ることと、他の追随を許さないなんらかの高度なテクニックを作品の中に入れ込まなければならないということになる。

そんな絵の話ばかりをしながら、時間は過ぎてゆく。

私の話を聞き、それを自分の中に取り込んで伸びる人もいれば、アタシの悪口をネットに書き込む人もいるということになり、その道は、才能のアル・ナシと等しい。

この前、有名な建築家の直属のお弟子さんと飲んだときの話。

オジャラ「ウチのギャラリーにも、建築家の卵が一杯くるんですよー。みんな、建築事務所に修行に行っても、給料が出ないとか話してましたけどぉ」

などと言うと、

建築家「給料はこっちが貰いたいよ。そんな根性の無い話をして、事務所を辞めてしまう人間は、もともと才能がないんだよ」

とポソリ。

アタシは、そういうもんだろうとおおいに納得した。

どんなに過酷な環境下であっても、志があれば、自分の道は見出せるし、なければ、何のキャリアも積まず、時間が過ぎてゆくだけである。

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