◆◆◆ 1485 ★ 個展のできごと-2  ◆◆◆

2010.1.24 更新

ナミキ君が、キュビズムというのは、あちらこちらからバラバラに撮影した写真をコラージュすることですかと聞いてくる。

まあ、近いけど、ちょっと違う。

オジャラ「立体の展開図みたいなものかしらね。それをハサミで切り取って、平面に仕立て直す。そんな感じ。写真ってことじゃないと思う。」

といいながら、ナミキ君の顔を描く。

はは。よく似ている。

もともと、立体的な部分を、平面の断片にして、それをバラバラにして再構築するのがキュビズムなので、写真のような立体的な影などは無いはずなんだよね。

ナミキ君は、セツで学ぶかたわら、イラストやデザインの小さい仕事もきはじめたアーティストの人。

エログロのときに来た人なので、絵は品がないことが多い。汗。

今日は、「どうやったら、イラストレーターになれるんですか?」

という話しから始まった。

オジャラ「まだ、絵がヘタなんだよね。もう少し描かないとダメよ。描いてる量が足らないわ。」

バッサリ。

どの人であっても、ある一定以上のクオリティーまであがれば、仕事は取れる。

そのクオリティーが、物凄い高くなっているというだけだ。

もしくは、高いクオリティーを、安く請け負わないとならないという、時勢的な問題もある。

オジャラ「あれじゃないの?好きな絵ばっか描いてるでしょう。イラストっていうのはね、頼んだ人が気に入る絵を描かなきゃならないの。まずね、そういう、誰でもがいいなぁっていう絵を大量につくって、ファイルするところからかしらね。」

そういって、何人かのイラストレーターの作品ファイルを見てもらう。

そうすると、ナミキ君は、自分には、何が足らないのかを少し受け入れる気になったようだった。

そのあと、

アタシは、絵をどのぐらいの時間で描くのかという話しになる。

オジャラ「アタシは、絵を描くの、ものすごい早いんだよね。」

ナミキ「それって、何時間ぐらいですか?」

オジャラ「何時間もかかんないよ。何秒とか、

さすがに、秒ってことはないかな。2分ぐらいはかかるかな」

そういって、てぬぐいの型に詰まった目詰まりに、穴をあけていた手を休めて、ドローイングの道具を並べる。

(今日はすでに、5時間近く、この、てぬぐいの型紙の目詰まりを取り続けていた)

オジャラ「絵を描くところを見せてあげるよ。」

アタシは、コットマンを取り出して、大きな筆で、水跡をつけ、紙の上にインクをたらしたりして、一気に色をつけてゆく。

そうして、インクが乾かないうちに、ガラスペンで線を作ると、あっという間に絵は完成。

早っ。

注文のイラストのときには、「明日になると消えるペン」でアタリをつけるんだけど、素描のときは一発描き。

アタリをつけると、絵がこじんまりとまとまって、つまらないからである。

ナミキ「僕もガラスペン使ってもいいですか?」

オジャラ「使えば?」

ナミキ「よっしゃ!」

気合入ってるみたいだけど、そんなにカンタンには作れないとおもうよ。たはは。

自分で、自分の線を作れるようにならなければならないというだけで、どの作家さんだって、目指すところは同じだと思う。

ナミキ君も、最近は、アタシのススメにより、ボールペンでの一発描きの習作を重ねているということなので、ボールペンで失敗しなくなれば、ガラスペンだって夢ではない。

アタシの絵は、上手い絵を誰も期待していないので、自分のスタイルや色になるように、気を配ればいい。

他のセンセイ方と並んだときに、アタシは、アタシの絵になっていれば、みんな、それで文句は言わないのである。

ナミキ「おじゃらさんの絵、いいっすよね」

オジャラ「あのね、このレベルではね、まだ、美術品としては、売れないのよ。」

ナミキ「そうなんですか?」

そうして、アタシは、満寿夫の図録を開いて、「この陰毛のようなタッチなのよね。これを自分の絵に入れたいの。自分の絵って、こんなに、汚せないわよね。」

そういいながら、グチャグチャと絵の上に、ペンを走らせてみる。

ナミキ「やっぱ、このグチャグチャと汚したところがあると、画面が引き締まりますね」

オジャラ「うふふ。ホントね。やっぱり、名画をパクると、絵はよくなるわよね。」

という会話。

パクリご推奨でいーのかよっ。

いーの、どうせ似てないんだから。

そんなやりとりをしていると、赤いインク壷を倒してしまい、そこいらが血の海に。

しかたがないので、スケッチブックの表紙の紙にドローイング。

ああ血だらけ。

それにしても、何てキレイな色なんだろう。

おじゃら画廊

Established 1998 Rica's Bar WEB SITE & Since 2003 Atelier Ojara.
Copyright (C) All Rights Reserved by Rica Ojara.