◆◆◆ 1412 ★ 八木美術さんが訪ねてくださる ◆◆◆

2009.9.26 更新

この日は、足立の画家・作家展の搬入で、午後から作家さんたちが入れ替わり入って来る。

そんなときに、見知らぬ殿方が、ギャラリーの前を通る。

『八木美術の八木です』

八木さんは、外から声をかけてくださった。

アタシは、中に引き入れる。

オジャラ『八木さんって、いつも、背中と顔半分しか見えませんから、解りませんでした。すいません』

(私がお店を訪ねると、いつもパソコンでお仕事されていて、間近でお話しするのは今回がはじめて)

八木『ここを通ると、いつもシャッターが閉まっていて』

オジャラ『営業時間が特に短いのが特徴の店なもんで』

という会話。

今日は、東京美術倶楽部で、業者間のオークションに参加してきたのだという。東京美術倶楽部かぁ。一回行った事があるかな。

八木さんは、この日記の愛読者である。

しかも、アタシよりも、日記の内容をよく覚えている方である。

なので、会話は、逆転してしまう。

八木『前に日記に書いてましたよね。』

オジャラ『そうでしたっけ。そんなこと書いたかなあ。』

アタシは、何でも忘れてしまうので、忘れたくないことをこの日記に記録している。

であるからして、書いた途端にわすれてしまうのだ。

グーグルの検索システムってベンリね。

紙の日記だと、そうはいかないけど、自分で、あの絵はいつ見たんだっけとか、正確な作家名とか、そういうのを思い出すときに、ホントベンリ。笑。

オジャラ『八木さんって、結構イケメンだったんですね。知らなかったよ。』

とかいう会話。オジャラよ、もう少し、女性としての恥じらいを持てよ。

もう、そういうの無いなあ。

オババ化する自分が怖いわ。

まあ、色気むんむんというのもどうかしらね。

アタシは、そっちの方が怖い。

八木さんは、美術商でも、特に陶芸がご専門。

八木『この前、寛次郎の壷を扱うことになりましてね』

オジャラ『(高価なので)お店には置かないよね。残念ねぇ』

八木『すいません。』

オジャラ『いーのよ。デパートなんかでは、ちょくちょく(ホンモノを)見てるのよ。今度、また、図録見に行くからよろしくね。』

アタシは、古美術品を買う予算はないのだが、あのお店に置いてある、人間国宝級の図録の質の高さには感激だ。

図書館などよりも、てっとり早く、ヨイ品を拝見できるので、あつかましく押しかけては、図録を見せていただくことが何度かあった。

八木さんのお父様も、イロイロと、ああ、この壷は高いとか、そういう話を教えて下さって、陶芸作品の格調高さや、美意識、技法の新しさなどに触れることができたのである。

アタシってば、ツイているよね。

この前も、伝統工芸展で、中田博士さんという方の時期の花器を見て、アっと声を出してしまった。

ホントに素晴らしかった。

目の肥え具合というのは、見ている数と比例している。

自分でも作陶するようになったこともあるけど、あの技術の高さと、美しさは、他の追随を許さない域だと思った。

というように、教えて下さる方がいれば、理解というのは一気に進み、その高みが、どの辺りなのかという話まで理解できるようになる。

自分の作品がその域まで上がってゆくのかというのとは、全く違う次元だということだ。

大切なことは、自分でも、高い域にある作品かどうかを、判断できる。

最低でもこの力は必要である。

八木さんとは、短い時間に、作品は、美術品にならなくてはならないという話で盛り上がる。

オジャラ『アタシの作品は、まだ価値ゼロですからね。なんとか、美術品に喰いこまないと』

八木『そうしたら、ウチでも扱います。 』

という会話。(←ここは、笑うところです)

お互い、美術品とは何かという話と、それ以外がキチっと理解できている。

美術商なのだから当たり前といえば当たり前なんだけどね。

八木『まあ、良いギャラリーで扱いが始まると、値段が急に上がるってこともありますけどね、なかなか、継続して高値が続く作家というのは少ないですよね。すぐに、値下がりしてしまう。

逆に、作品さえよければ、そんなことないんですよね。』

オジヤラ『そう、作品が全てですよ。良い作品になれば、必ず、道は開けるって、その辺りの理解ができているから、また描けるんですよ』

まあ、こんな、内容の無い日記をご愛読くださっているということは、近所ということもあり、気にかけてくださっているということであり、本当にありがたいことだと思う。

八木さんは、二階にある、アタシのテラコッタ作品や、油彩なんかも見てくださった。

ありがとうございます。近くに寄ったら、またいらしてくださいね。

おじゃら画廊

Established 1998 Rica's Bar WEB SITE & Since 2003 Atelier Ojara.
Copyright (C) All Rights Reserved by Rica Ojara.