◆◆◆ 1246 ★ 新しいバイトの話 ◆◆◆

 

2008.11.9.更新

印刷業界が低迷中で、今までコンスタントに入っていたグラフィックデザインのお仕事が取れにくくなってきた。

他の方法で収益が定期的に得られるのであれば、それに越したことは無い。

固定で、現金収入を増やす目的で、週に数回のバイトを探していた。

さすがに、月・火のみという仕事は、世の中には見当たらない。

特に、アタシの場合、頭脳労働なので、こちらの事情で好きなように働けるという業態は皆無である。

仕方なく、画廊を水曜日も休みにする。

画廊は、平日は、1人か二人しかお客様も来ないし、土・日営業してあげるほうが、作家さんのためなのだ。

月・火・水の勤務で、働けるところを探していたのだが、運よく、短期の仕事が決まる。

あ゛あ゛。これで年が越せるわ。

こまつゆりこさんの作品とマグカップ。

派遣会社などの競争率を見ても、1求人に対し、応募者が殺到という状態で、週に5日働く人と比べると、アタシは著しく不利なんだよね。

別に、皿洗いでも構わないのである。

どんな作家さんであっても、無名時代というのは他の仕事をしていたし、有名作家であっても、出版者から前借をしていたものなのだ。

作家業というのは、どのみち、そんなに儲かる構造ではない。

ただ、ヨイ作品が後世に残ったのだとすれば、そのことだけで、幸せな画業だったというべきなのである。

例えば、歌手とか芸能人とかを見たって、一発売れて、カラオケの印税でも入って来る人を除けば、ウハウハ時代というのは、本当に瞬間的なもののような気がする。

中井貴一でさえ、『日本の映画俳優は、(アメリカの映画俳優とは違い)主役でも、何年も暮らせるほどのギャラがもらえるわけではないですから、せいぜい、4-5日、旅行に行く程度です』

などとテレビで語っていたのには驚いた。

一体、どんな構造なのか、その方が驚きである。

人の才能で、稼いでいる人が存在しているということに他ならない。

兎屋みいすけさんのコーナー。

どちらにしたって、バイトは神田西口商店街という、カワイイ場所にある。

間口が狭く、カウンター中心の食べ物屋が並び、どの店もサラリーマンで賑やかである。

アタシは、カンダのランチタイムを楽しみながら、残りの時間には近所のギャラリーや骨董店を冷やかして回る。

展示数が8点ぐらいの、小さいギャラリーが多い。

主が骨董好きからスタートしましたというお店風。

日本画のお店もあった。

院展筋の作家さんで、著名ではない風から、直接買い上げていますという品揃え。

主に、近隣のギャラリー情報を伺い、近くに、天理教の本部があり、その最上階に展示施設があることを教えていただく。

主「あそこのはホンモノですし、タダで見れますから、是非行ってみて下さい」

一筋違う場所のそのギャラリーには、7世紀のオーラ。

客は、いつもアタシ一人。あとから、骨董好き風の道楽風が1人入って来る程度。

きっとニセを(大量に)掴まされているに違いないぜ。という風情。

陶芸系の筋は、どんなに勉強したって、真贋を見分けるのは厳しい場所にあるとアタシは内心思っている。

だから、ガレやドームみたいに、解りやすい筋に売買が集中するのだ。

それにしたって、何て美しいんだろう。

美術館に行くと、金がかかるからね。

無料で、これだけの筋が見れるのは、お得だわあ。

もう色が剥げてしまっている陶製の人形達は、以前はどんな色彩だったのかに思いを巡らせながら、アタシは、うっとりと、その中に引き込まれているのであった。

おじゃら画廊

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