◆◆◆ 1168 ★ ゲロゲロ毛糸筆の作り方  ◆◆◆

銅板画作田富幸センセイのサイトはこちら/
今、文房堂のアートスクールで小口木版を教えてくださっている長島 充センセイのサイトができました。

2008.6.21.更新

オジャラ「アタシはさ、伝統工芸品とか、竹具なんかの、作り方の番組を見るのが大好きなの。

それでね、ある程度、イロイロなモノの作り方が理解できると、今度は、イロイロな情報を組み合わせて、自分で道具を作ったりできるようになっているんだよね。」

善養寺さん「どうやって、筆を作るんですか?」

オジャラ「あらぁ、カンタンよぉ。それじゃ、割り箸をあげるから、一緒に作ってみようか。」

アタシは、二階で作品を鑑賞していたN姉妹を呼ぶ。

オジャラ「これから、こちらの方々に筆の作り方を教えるから、あなた達も参加したらどう」

彼女達は、ワケも解らずに一階に下りてくる。

しかし、アタシの書は、彼女達の心も動かした。

それぐらい、書家の書いた書みたいな出来具合なのである。

そうして、四人は、アタシを取り囲み、ゴミ袋から出された、毛糸のもつれた塊を見つめる。

ヒッチコック映画のような、巻き込まれ型イベント。

アタシは、まず、最も重要な話をする。

「この筆で大切なのは、色なの。だからね、色彩には気を配ってね」

どうせ、墨をつけたら、毛糸の色など、全て黒くなってしまうんだけどね。汗。

カラフルな毛糸を、使い放題というのが、また、素晴らしい。(もともとはゴミなので)

コマ送りにすると、人の動きが結構面白い。

そうして、このように束ね、ぬいぐるみの足なども混ぜ、もしくは、彼女があみかけた、モヘヤのパッチワークなどを切り刻み、それも、筆の中に入れてゆく。

オジャラ「マチエールというのはね、自由なの。筆では作れない表情が出るとね、書家の人は、(このマチエールは、どうやって作ったんだろうと、作品に)引き込まれる。これはね、美味しい話なの。

だからね、(毛糸にこだわらないで)自由に、好きな品を混ぜて作ってね。」

何度か毛糸を折り返し、シッカリと木に毛糸で縛りつけ、筆先をカットして完成。

カンタンな創作なので、皆さん、一度の講義で多いに理解を深める。

そうして、N姉妹も、(突然の話のため、ワケが解らず、)最初は乗り気ではなかったが、(安易な創作活動のため)すぐに、創作に引き込まれ、赤や黄色、水色の糸などを自在に組み合わせて、筆作りを進めてゆくのだった。

ああ、四人も並んで、廃材に向かっている姿こそ、現代アートそのものだわぁ。

というように、なかなか趣き深い時間となった。

創作は短時間で終了。

縮墨の作り方の講義までは進めなかった。

別に、筆が出来たからといって、書がよくなるということではない。

あくまでも、創作者が、書くべきものであり、それは、個々に違う世界。作家の持つ、創作に挑むという気概こそが、重要なのである。

私ができることは、そういう、意欲を喚起したり、やってみようと思った人に、創作までできるように、ささやかな助言を与えることである。

完成したゲロゲロ毛糸筆は、テーブルに並べられ、皆で撮影会をする。

それから、透明な袋に入れ、今日の日付と、サインを入れた紙も一緒に入れる。

オジャラ「ホコリなんかがつかないようにね、袋にいれておこうね」

そうすると、N姉妹の妹が、「色は大切ですね。このまま飾ります」

などと、嬉しそうだった。

よく解らないけど、彼女は、この時間を楽しんだみたいで、アタシは、それが嬉しかった。

善養寺さんは、今度の留守番のときに、道路で書の練習をしてみたいとか言い出し、張り切っていた。

それぐらい、アタシの書いた書が、カッコ良かったんだと思う。笑。

自作の他の書も見せたりして、

オジャラ「このね、ビシャっという跳ねは、練習しないと作れないの。墨が飛び散って、躍動感があるでしょう。それから、その次に大切なのは、カスレ。

カスレはね、ボンという、大きな強い色よりも、作るのが難しいからね。書の中には、どちらもないとダメなのよね。

それから、余白。この三つが揃い、遠目、抽象画のようになっているとオッケーってことが多いかしらね。」

という解説。

どの人も、作品を作る人なので、アタシの、具体的で手短な話に、多いに書の理解を深めてゆく。

自画自賛だけど、書は、大分上手くなってきたと、自分でも思う。

アーティストで、日本人なら、誰だって、あんな、書家みたいな作品を作ってみたいはずなのよ。

日本人なんだもの。わが国の文化に、誇りを持って、作品作りを楽しみたい。

おじゃら画廊で作品を出品すると、すぐに役立つ、聞きたい話を無料で聞くことが出来ます。作家の皆さん、是非、ご出品お願いします。

おじゃら画廊

Established 1998 Rica's Bar WEB SITE & Since 2003 Atelier Ojara.
Copyright (C) All Rights Reserved by Rica Ojara. 

◆◇◆ 図録になり作品は永遠となる ◆◇◆ オススメの図録リンク ◆◇◆