◆◆◆ 1140 ★ 鏡の裏を使った作品 ◆◆◆

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2008.5.7.更新

この前、印刷屋さんに打ち合わせに行ったとき、帰り道に、ゴミ置き場で捨てられていた鏡を拾う。

その鏡は、ゴミブクロの中に入っていたが、それを開けて、とりだして持ち帰った。

木材の彫刻が趣き深い品物だ。

あまりの汚さで、よくよく拭き取るが、そのときに来ていた作家さんの助言により、洗うことになった。

鏡を止めてある裏側のベニヤも腐っていたので処分。

古い品物で、鏡は分厚い。

シミなどが入っていて、鏡としては使えない。ガラスの上に絵でも描こうと考えていたら、遊びに来ていた作家さんが、裏から何かで削ってみたらどうかともちかけたので、早速ためすことにする。

二人とも、削った線が、表側に出てくると考えていたが、思いのほか、オレンジ色の塗料が厚く塗られていたため、そちらは断念する。

しかし、筋を入れた感じの色が面白かったので、こちら側を削り進めることにした。

2時間もしないで、このにゃんこは出来上がった。

個人的には、花模様の額には、アタシの油彩を入れたかったのだが、アタシに相談事があったその作家さんは、その間アタシと話をしており、

「長年連れ添った鏡と額縁なのだから、一緒にしておいてあげなよ」

などという助言を受ける。

まあいいかぁ。

オレンジがかった茶と、ムラに塗られた白い枠のコントラストがよく合うのである。

別な日、アタシがこの作品を作りかけていたときに通りがかった人がまた来て下さった。

そうして、「あの作品はどうなりましたか?」

と尋ねるので、見て頂くことにする。

彼は暫く作品に引き込まれていたようだった。

N「なんか、凄く引き込まれました」

オジャラ「良い作品というのは、いつまで見ていても、見飽きないものなんですよ。いつまでも見ていられる作品の力のことを、画力というんです。」

彼は、そのあとも暫くこの作品を見ていたが、販売しているのかと聞かれたため、アタシも値段は考えていないが、材料費がタダに近いので、ご予算があったら、相談してくださいと申し出る。

そうして、概ねハッピーな金額で商談は成立した。

そうして、にゃんこの絵を見るにつけ、平山郁夫のラクダの絵のことを思い出していた。

この日も、別な作家さんが遊びに来ていたのだが、彼女は静かにアタシの作品が売れるのを見守っていた。

お客様は先に帰り、アタシと作家さんは、作品を手放すということについて話し合った。

オジャラ「作品というのはね、それが例え安い値段だったとしてもね、ヨイ方に持ってもらえるということが、絵のためなの。

自分で抱えていてもね、ホコリだらけになるだけでね、そのうちに処分しなくてはならない日がくるの。

でもね、もし、どなたかが買ってくださったという作品はね、ずーっと大切に持たれるのよ」

猫の絵は良く売れる。

私の場合、油彩に関しては、そんなに安くしたりはしないのだが、それ以外の作品というのは、あまりにもあっけなく作っているため、物凄く割安でお譲りすることが多い。

小さい作品でも一つ持つと、よさが分かり、今度は油彩を買いに来るからである。

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