◆◆◆ 1037 ★ 日展 ◆◆◆

 

2007.11.9

ついでというワケでもないが、結局ついでみたいな形で、日展を見た。

日本画はそんなに感じなかったけど、洋画になると、著しく作品が落ちる。

正確な表現をすれば、物凄く落ちる作品が混じっているので、良い作品まで悪く見えるという感想。

これが、日本の洋画界の現実なのだと思うと、ついていない。

最後の30分で、あわてて書道の展覧会を見る。

安東センセイに、書の見方を教えていただいてからというもの、目が肥えてしまい困りモノである。ヨミウリ書法展圧勝。先日見に行った、セントラルビルでの展覧会も素晴らしかった。それには及ばないという感想。

クリストさんと、ジャンヌは、日展を見たのだろうか?

あまりにも離れているので、お互いに、話にならないもんなあ。

日展に出した人の中で、クリストとジャンヌの話を聞いた人がいたのだろうか?

Kのマスターによれば、「そうそうたるメンバーがゾロゾロと、講演会に来ていて、ビックリだわぁ」

と、ビビリまくり、早々に退散。

あんなに、サインをもらうと張り切っていたのになあ。

まあいいかぁ。

マスターは、結構解りやすいキャラクターだよなあ。でもまあ、人のペースに巻き込まれるという事が無い人で、それは有りがたい。アタシも、人に合わせたりはしないからである。

後ろの席に座っていた、現代アーティストの卵らしきふたりは、「スッゲー」

の連発で、ロシアの国会議事堂を包んだ作品を見たこともなかったのかと思うと、そのことにも驚いた。

少なくとも、有名作家の講演会を聴くのだから、過去の作品の2点や3点調べてから来るべきだと思う。

ジャンヌは、「私達は、ロシア議会を口説いて、3度断られたけど、(別なプロジェクトが世界的に話題になり)4度目には(向こうも態度を軟化させてきて)、やっと許可が下りて、プロジェクトを実現することができたの。

私達はね、ロシアの議会(それは、国民の意思)を動かしたの。私達のアートが、政治に勝ったのよ」

と語ってくれた。

なるほどねぇ。

本人達は、「この作品には、意味などない、テーマなどない」

などと強調するけれども、実際のプロセス、実現化させるという行動というものは、本当に粘り強く、必要な人材を投入して、科学的に、組織的(ある意味、企業的に)展開されているなと思った。

それは、作品というのは、作家が1人で作って、1人で完成させるという今までの概念をも大きく変えてしまっている。

ロシアの国会議事堂を、布で包む。

鉄骨、ロープ、どんな布が適しているのか?

もともと、アイディアであったものを、実現させるために、具体的な話を、ロジカルに進めてゆく。

それが彼らの言う、プロジェクトなのである。

そういう、膨大な資金をつぎ込み、大量の人を巻き込みながら、作品を実現化させ、それをまた、取り去ってしまうというアートは、確かに例を見ない。

その写真は、何十万・何百万もの人が撮影をし、図録にもなり、またもとの形に戻される。

利用した鉄やアルミ、布は、リサイクルに回される。

まあ、アタシが、彼らの作品を見て思ったのは、「壮大なスケール、膨大な費用を使えば、概ね誰でもが驚く作品が作れるぜ」

という感想だった。

もし、同じぐらい心を動かすことが出来るのであれば、壮大でなく、金もかかっていない方が勝ちだという価値観も存在するのである。

そのことを理解できたのは、本当にヨカッタなと思うのだ。

「作りたいものを作る」

その一言には、本当に勇気を頂いた。それが、創作者というのものである。

作りたいものなど、そんなにない。

「ああ、この作品を、アタシの名前で残したい」

そういう作品を、ちゃんと形にして、残すのが創作活動ということになる。

アイディアだけで良いのであれば、誰にでも可能性はある。

結果になり、見た人、関わった人の心を何らかの形で動かす。

それが彼らの、本当に意図している部分なのかなあ。

そうして、そんなにも偉大なアーティストのことを、誰も知らないというのにも驚くよね。

美術本を販売する店員さんも、近所の宝石商のお兄さんも、クリストの事は知らなかった。

彼のことを偉大だと思っているのは、実の所、近所ではアタシだけだろう。

ああ、Kのマスターもいるかなあ。あの人、ホントに、現代アートってものが、解っているのかもまだ、ちゃんと話したことが無い。私達は、お互いに物凄いおしゃべりで、ずっとしゃべっているが、話すことが尽きるということもなく、現代アートのことは、まだ確認できていない。

現代アートって、一体何なんだろうね。

創作者は、みんな何処に行くんだろう?

ザ・ゲートの総費用、22億円かぁ。アタシなら、六本木辺りの中古ビルを狙うけどね。というように、金があれば、不動産を買う傾向。

アタシが、世界的な芸術家になる日は遠い。

 

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