◆◆◆ 867 ★ 作品の鑑賞ポイント ◆◆◆

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2007.3.22

ま、絵を見る→美術番組を見る→絵を見るというのを繰り返していると、その、目指すべき表現の根本というのが理解できてくる。

絵に限らず、書でも、陶芸でも、漆芸でも染色でも写真でも、創作に関わる話であれば、それ(根本)は同じ場所である。

どんな創作活動にも、一定の制限というのがあり、平面には平面という制限、彫像には材料による限界というように、限られた世界の中での創作を余儀なくされるのが普通である。

鑑賞者は、一体何を見ているのか。

もしくは、評論家、審査者は、何を見ているのか。

今日はここに着目して、今までの私の所感を整理しようと思う。

篠山紀信さんのコメントからは、短いながら、芸術家としての創作の根源を見て取れる。

要点は、この三点。

●良い品に囲まれて過ごすことへの素直な感激(生きながら、洗練されて、良いものに対する理解が深まってゆく)

●自由な表現に挑戦し続けてきた人への敬意(創作における自由さについての理解)

●作品の完成度を見極める力(=高い完成度を目指し、自分の作品のレベルをそこまでアップさせることができる力を持っているのかどうか)

ちょっとピンボケしちゃったのよね。

この作品は汚かったよなあ。

イロイロな番組を見てきたけれど、こんなに、芸術を凝縮して語った人はいなかった。

技術や色の美しさ、表現の独自性。できれば内面表現・瞬間表現。

まあ、今までは、そういう切り口での解説が多かったということになる。

以前、評論家で美術雑誌編集長の方がゲストに出たときにも、彼のコメントの中に、「自由な表現、新しい表現の模索をし続けたかどうか?」

というポイントがでてきた。

見るべき筋を誤っていない鑑賞者だと思ったものだった。

嫌まあ、自称収集家であれば、みんな、

●作品の瞬間表現(感情表現=内面表現を含む、動き)

●作品の透明感

●独自性

●(この解説者の場合、一歩進んで)その結果が、自由な表現にチャレンジしているのかどうか

位のチェックポイントは、みんな見ていると思う。

それは、全員が見ているという話で、語りあう必要すらない。

当然に、そういった基本用件が備わっていない作品であれば、なおさら、口に出したりもしない。

悪い絵の話をする時間は、無駄というものである。

そういう、恐ろしい世界なのよ。

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このまえも、とある場所で収集家のJさんと出くわした。

そんでもって、小声で、

J「いやあ、この展覧会はねえ」

オジャラ「口に出す必要もありませんよ」

展覧会に関しては、この程度の短い会話で終了。

久しぶりに会ったので、最近、どんな絵を買ったのかどうかとか、アタシが買った絵がホンモノかどうかという話で盛り上がる。

そのあと、Jさんは、この展覧会に選ばれた1人の作家さん作品を3枚所有のため、彼女が、ここのチケットを送ってくれたんだよ。などと、収集家らしい自慢話を少し。

ほんの僅かな時間話して、それぞれが次の展覧会場に向かっていった。

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テレビでのシノヤマさんの解説によると、基本的な鑑賞ポイントの他に、

●作品の完成度

という鑑賞ポイントがあることになる。

アタシは、貸し画廊の展覧会にもよく足を運ぶ。

絵は上手い、技術は持っているんだけど、完成度が著しく低い作品に多く出会う。

嫌まあ、アタシの作品にしたってそうなんだけどね、どんなに絵が上手くかけても、販売可能な完成度まで及んでいないという話である。

あとちょっとなんだけどさ、売れるか売れないかという境とか、この絵ではムリという場所にある沢山の絵を見ては、

「見てる数が足りない」

と思うワケなのよ。

この前、不忍画廊さんで、アタシがイロイロな展覧会を見に行っている話になり、

「自分の作品の完成度を、どの程度まで上げなくてはならないのかを理解できなければ、そこまで上げることができませんよね。」

と話すと、ママさん、

「うんうん」

などと頷いていらっしゃった。

絵というのは、描けばヨイというものではない。

自分の作品と、売れている作品とを比較して、自分の稚拙さを受け入れ、売れている作品のレベルにまで、完成度を高めてゆかなければならない。

その点、イラストレーター協会の人たちの絵って、やっぱ、金取っているだけのことはあるよね。

金が取れる絵である。

そういうことである。

その差はほんの僅かだが、結果は大きく違う場合も多い。

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