◆◆◆ 703 ★ ニキ・ド・サンファル展  ◆◆◆

2006.5.18

大丸のニキの作品展を見に行く。

立体に入りかけている私には、刺激になった展覧会である。

大丸のミュージアムはたいして広くも無いのだが、かなり大きく感じられる巨大な立体像。

そうして、展示されている写真などをみると、もっと巨大な立体もいくつも手がけている。

一番強烈だと思ったのは、太った女性が、足を広げて横たわった建築物。

そこから、人々が、子宮の中に戻ってゆくというコンセプトで、又の間には、人の列。

スゲー。

彼女は物凄い美人で、モデルをしていたこともあったのだが、精神的な障害に陥り、病院に入っていたこともあった。

そのときの治療の一部として絵画を取り入れて、才能が開花したということのよう。

なるほどねぇ。

自分の才能との出会いというのは、ホントウに驚くべきタイミングでやってくるのだと思わされた。

この展覧会で、一番笑ったのは、とある観衆の会話である。

彼女たちは、一つの作品を見ていた。

ニキは、昔の彼のワイシャツにネクタイをはめ、板に取り付ける。

その上に、ダーツを置き、展覧会に来た人に、ダーツをしてもらうという参加型アートである。

そのワイシャツといえば、五寸クギのような品でメッタ刺し。ひえーっ。

アタシにしてみれば、こんなに具体的な形で恨んだりするから捨てられたんだろうと思ったりしたわけだが、その観衆の会話といえば、

「有名になっちゃえば、どんな作品でも売れちゃうからねぇ」

であった。

はぁ。

強烈な作品だけどなあ。アナタは、この作品を見なくても、アタシの説明で、アタマに映像を思い浮かべていると思う。

彼女たちは、きっと、プラド美術館展のような高貴な作品群が芸術だと思っているに違いない。

何故、ニキを見に来たのか全く不思議だぜ。(タダ券をもらったからとかいう話かもしれないが。笑。)

ニキは、その外にも、射的絵画という作品群を作っている。

板の上に、卵とか、絵の具の入ったビニール袋とか、プラスチックの玩具(食玩のような小さい品)をいくつも並べて、石膏で固める。

そうして、その中のタマゴや絵の具のビニールをホンモノの射的で貫通させ、絵の具が飛び散って絵を描く、

もしくは、作品そのものが遂に破壊してしまうというような、瞬間的な作品をいくつも発表し話題になった。

いやぁ。激しい人だよなあ。

しかも、超美人。

まあ、これくらいの激しさだと、病院にいかなければならないというのは納得。

そういう激しさが、新しい作品作りの原動力になったということは間違いが無い。

どちらにしたって、大人気。

凡人は、異常な空間を共有したいと思うものなのである。

この作品が芸術なのかといえば、アタシは、芸術だと思う。何故なら、大量に集客でき、見た人は、口々にその話を他の人にして回るに違いない。

アタシだって、リアルに、タマゴの黄身とか、赤いインクが射的により、周囲に飛び散って、あたりが血だらけになるような瞬間を見てみたい。

人間というのは、果てしなく品が無く、心の奥底には狂気が潜んでいる。そういった精神の内面を刺激するような作品というのは今まで見たことが無かった。

例えば、見たことがあったとすれば、デュシャンの泉(便器)のような、静かな作品である。

作品の表現というのは、全く自由なものだと思わされた。

ニキは、射撃絵画では収益が得られないことに気づき、版画の製作などをはじめた。

アタマの良い人である。

そうなのよ。オシオッサさんのような、現代系の作家さんの作品は、売るのが難しい。

確かに、面白いんだけどさ、売れる気がしないの。

そこに版画が登場するわけよ。

彼女の版画は、こちらも全くの下手糞で、自由な作品であり、ポップな色使いの絵の中に、文字が沢山描かれていた。

山本容子は、ニキのパクリだというのが判明。笑。

文字の書かれた版画というのを、人は、顔を近づけて読むものなのだというのも解った。

書いてあることは、全く脈絡が無くて、意味も無い。

そんな作品を、アナタに作れたりはしない。

まあそういう域である。

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