◆◆◆ 634 ★ パウル・クレー、バークコレクション ◆◆◆
2006.1.9 |
今日は東京方面から攻略。 池田満寿夫展は画廊がお休みという、ガッカリな結果に終わる。 まあいい。 下手したら、買ってしまうかもしれないので、これでヨカッタのだと思えてくる。 仕方がないので、大丸のパウルクレー展へ流れる。 クレーの絵は、アチコチで、一枚、二枚と見ることはあったのだが、ピンと来ない作品が多かった。 今回の展覧会も、まあ、イマイチという絵も混じっていた。 ようするに、作品の良し悪しが激しい作家さんなのである。 ヨイ作品もいくつもあるのだが、イマイチ系は、もっと大量にあるということに他ならない。 でも、クレーの作品なので、高値で売れるのである。人気商品ということになる。 それは、何を意味するのかといえば、絵を見ずに、名前でゲットするファンが多いというのを示す。日本でだけだと思うけどね。 |
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もうひとつの特徴は、印刷物になると、良さが増す絵であるということである。
その、印刷物のほとんどは良く見える、たまには、ヨイ絵が、市場に流出する。 という巨匠の作品は、結果的に、悪い作品も含めた相対量が膨大ということもあり、市場にチョロチョロと出ては、知名度を落とさず、人気をキープし続けているという構図。 買う方は、クレーであれば、良くても悪くても関係ないという人気。 なるほどねえ。 それでも、こんなにまとまって見たのは初めてで、大丸は、デパートながら、横浜そごうと同じように頑張っているなと思うのである。 クレーの作品では、微妙に落とした、パステル調の色彩の作品に引き込まれ、心が癒されてゆく。 抽象画ながら、ホントウに、お部屋にポっと置いて置きたいという気持ちになる作品群に驚かされた。 なかなか、お部屋に飾りたいという絵など、お目にかかれない。ましてや、高値で買ってもヨイという作品など、世の中には皆無なのである。 |
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そのあと、秋葉原経由で、上野のバークコレクション展へ。 余りにも痛んだ、日本画の展示に、私は涙が出そうだった。 400年も前の作品を、こんなに沢山集めてくれたなんて、それはそれで素晴らしい。 そうして、それを、まとめて持っていてくれたというのもスゴイ。 この人は、この作品たちを、一体いくらで手に入れたんだろうか? 数からして、まだ安いウチに、ガンガンと買い捲ったという筋のコレクション。 まあ、コレクションとしては、中の上ってことになる。 理由は、コンディションが悪い作品を、それを理由に、安く買い叩いて集めたということもあるだろうというところから来ている。 ホントウにヨイ作品を、安く買い叩いたコレクターというのが、特上ということになる。 個人のコレクション展というのを見に行って、最近ではそこまで解るようになってきた。 そうして、蒔絵や陶器、埴輪なんかは、同じコンディションで保管されていただろうに、結構美しい上体を保っていて、絵の強靭さというのは、収集するときに大切なポイントなのだと思わされる。 |
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日本画の屏風で、金箔を貼ってある作品なんかは、比較的にコンディションも良い品もあった。 それでも、直されるということもなく、このまま、世界を巡回しては、作品が痛んでしまうのかと思うと、やっぱり、心は痛んだままであった。 それでは、作家の立場としてはどうか? 自分の作品が、世界を巡回して、何万人の人に見てもらうことが出来る。 それは、作家としての誇りである。 であるからして、どんなに痛んでしまったとしても、捨てられるよりは、ずっとヨイ待遇なのだと思うことにしよう。 アトリエの前の持ち主の荷物を整理していたときに、沢山の書が出てきた。 どれも虫に食われていて、キモチが悪かったので、私は、見ずに、全部を捨ててしまったのだが、中には、優れた作品もあったに違いないのである。 シミだらけの、武者小路実篤の品と思われる色紙があった。 印刷かもしれないし、もしかしたら、ヨイ額に入っていたので、本物だったかもしれないと思いながら、捨ててしまったので、もう、確認することも出来ないのである。 あのときには、まだ、真贋を見分ける程の鑑識眼は持っていなかったもんなあ。 |
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