◆◆◆ 403 ★ 片岡球子 ◆◆◆

2005.6.23

葉山にある、神奈川県立美術館 葉山館に行ってくる。

葉山だぜっ。

展覧会には規模というのがあり、国立なんかでやると、絵の数が、ちと足りないのかもしれないと思いながら、展覧会を拝見する。

片岡球子は、リトを何枚か見たことがあるきりで、実物(日本画)を見るのは初めて。

前から、美術誌などで写真は何点も見たことがあり、一度見てみたいと思っていた画家である。

逗子駅下車。改札正面の3番乗り場からバスに乗り、240円払って、三ヶ丘というところで降りる。

バス停の正面が美術館である。

海岸線を回るバスは、細い道をくねくねと進み、時々遠くで光る海面が美しい。

美術館に入ると、初期の作品が並んでいる。

おおっ。テレビで見た奴。

アタシが驚いたのは、実物の絵の大きさである。

院展用に描かれた作品というのが多いのだが、出品するというだけで、毎年2枚は、100-200号を完成させるということになる。

よっぽど広い家に住んでいるに違いない。

一番気に入ったのは、黄色い背景の中に芥子の花が溶け込んだ作品。

画面にいる女性像は、「薬中かよ?」という気持ち悪さではあったが、黄色と紫のコントラスト、グリーンと赤、濃い藍で引き締めた画面が、オーラを放っている。

彼女は、何故日本画から離れなかったんだろう?

洋画に進めば、落選することもなかったと思うのだが。

そうして、帝展への落選を繰り返し、落選の神様などと呼ばれた時期もあったらしい。

その後、イロイロなセンセイに師事し、時には破門されたりして、それでも諦めずに画業を続けていった。

まあ、そこが凄い。(日本画は、金かかるのよ。)

自分の才能を信じて進んだんだと思う。

金もあったんだと思う。ガッコのセンセをして、稼いでいたからね。注ぎこんだんだぜ。

それでも、古径や松園のような洗練された日本画独特のフォルムは感じられない。

逆に、火山のシリーズなんかを見ると、力強いヒッチ、構図、色彩が独自の世界を手に入れ、完全に片岡球子のモノになっている。

所々には、油絵の具かなあ、アクリルじゃないと思うんだけど、(盛り上がり方とか、ツヤとかで)日本画以外の材料を使い、近年の作品には、アクリル絵の具も取り入れているみたい。麻布に描いた作品もある。

でも、概ね、和紙に描かれているみたい。

日本画の画材というのは、独特な透明感があり、塗り重ねると、半透明の絵の具は、下の絵の具を透かして見せてくれる。

人物の衣服や、山肌など、あらゆる場面で、この技法が使われて、遠くから見ると、透けて見える下の絵の具の色が、上の色と溶け合って絶妙な効果を作り出している。

アタシも、いつか、この絵の具で描いてみたいよなあ。

でも、金が無いからなあ。

日本画のお道具は、お高いのよ。特に絵の具。

油絵の何倍もするからねえ。

片岡球子が日本画から離れなかったのは、格式の問題なのかもしれない。

日本画には、日本画独自の世界があり、洋画とは全く違う場所にある。

洋画と比較すると、作品のお値段もお高い。

一発当てるのであれば、日本画なのかもしれない。

絵の技術というのが、相当高くないと、絵の具がムダになるからね、もう少し描画の力をあげて、絵で稼げるようになったら、一回作ってみよう。

まあね、画壇なんかに入選するには、ある程度、センセイ方に知名度もいるらしいし、付け届けもしないとならないという噂もあるけどね。

でもまあ、本当に作品がよければ、落ちるということも無いはずなのである。

勘違いしてはいけないのは、文部大臣賞は、いくら付け届けしても、肝心の絵が良くなければもらえないということである。

もう一つの勘違いは、絵の筋だと思う。

日本画壇の方に、便器の絵はイケません。

そんな品の無い絵で勝負してはいけません。

公募展などを見て歩いていると、傾向みたいなのがあったり、審査員の絵の好みというのもあるみたいで、自分は、どういう所が合っているのかというのを、よーく判断しないとならないということのようである。

便器歓迎もしくは、便器不可キッパリ。

というように、展覧会に合わせて絵を変えるのか、もしくは、自分の絵が受け入れられるような公募を選ぶということのようだ。

くだらねえっ。

帰国して二年、やっと、日本画壇の構造が理解できてきたぜ。

オジャラよ、人の絵の感想ばかりでなく、大きい絵を描いたらどうなんだよっ。

ホントだよねーっ。

年に二回、公募に新作を出そうとするだけでも、作品がストックされて行くからなあ。新しい公募の使い方?みたいな。

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