◆◆◆ 332 ★ 雑誌の表紙を描く ◆◆◆

2005.3.31

ネットでお友達になった方が、不要な額縁があるというので、引取りを申し出ると、あとりえまで届けて下さった。

イイ人である。

遠方、ありがとうございました。感謝します。

私のコレクションなどを見ていただきながら、アートの話で盛り上がる。

私が技術を上げる話ばかりするので、彼は

「絵というのは、技術なんですか?」という質問をされる。

「絵は技術ではありません。絵の持つ力です。」

と答えたのだが、イマイチ、ピンと来ないという顔だった。

アタシは、自分の力を表現できる技術が不足しているのである。(→ヘタすぎるという、全く別な問題があるのよ)

だから、せっせと描いているのだ。

絵は多少上手くなっているが、力のある絵が描けるようになるかどうかとは違う。

それは誰にもわからない。

どんなに頑張っても、一生手に入れられない画家だらけなのである。

少なくとも、絵の持つ力については解っている。それは画家の画力ということである。

画力は、技術だけではない。

技術とは別な力が存在するのである。

私には、画家を目指しているのだから、当然に、「自分にはもっと力があるはずだ」という仮説を立て、その力を出すために、毎日手で描き、時々、油彩をしたり、銅板に描き込んだりして、その線を確認する。

そうして、まだ不足している部分を確認し、ドローイングやてぬぐいの下絵作りを通して、手で描く鍛錬を重ねるという作業を行ったりきたりしているのである。

院展や日展などを見る限り、アタシは一生、日本画壇に殴り込んだりはできないような気がしてくる。

でも、マティスやピカソを見ていると、このくらいならなんとかなるんじゃないかと思えてくる。(たぶん、ここに、過信と勘違いがあるんだねぇ。)

画壇入選と、マティスとかピカソのどっちが上なのかは解らないが、自分の絵を描きたいという、強い気持ちがある。

収益に結びつくのかどうかは、その絵が、絵を買う筋の人に受け入れられるのかどうかというところなのだろう。

お客様とは、実際に売買されている作品を見に行き、どんな絵が買われているのかという話になる。

実のところ、名画の展覧会に行くよりも、人気画廊をめぐって、赤丸作品を見て回る方が、よっぽど勉強になっている。

どういう絵が好まれるのかというのも、なんとなく理解ができてきた。

「愛好の方の趣向というのは、なんとなく理解できてきました。だからといって、売るために、自分の道から外れて、売れている絵と同じような絵を描くのが、ホントウに良いのかどうかは解りません」というと、彼は、頷いた。

それは、一生売れないことすら意味するからである。

色彩が、それくらい違うのである。

今のところ、技術や格調高さも不足しているのだが、技術は、描けば絶対に手に入れられる。格調高さは、性格的にムリかもしれない。

不要な額縁に、私の絵を入れて、額はサービスしますなどというと、買おうと思っていた人は即決する。

額縁というのは、物凄く高い品なのである。

妙な話であるが、額縁屋のオヤジでさえも、物凄く古い、売れ残りの額を持ってきてくれたるもする。商売なのになあ。

そうして、絵が欲しいという方に、この額はもらったものだから、サービスね。古いけどね。

などというと、ホクホクとした顔で帰ってゆくのである。

絵を買ったことが無い人は、ほんとうにビクビクと絵を見に行って、デパートの複製画の高さにアタマを混乱させ、友人の稚拙な展覧会に行き、義理で高い絵を買ったりしなければならないので、アートから遠ざかってしまうのだ。

世の中というのは奥深い。

ということで、今度の展覧会では、先着3名様、額縁サービスもしくは、大特価というのがありますから、お楽しみに。

オジャラよ、卑怯だぜ。みたいな。

アタシは、アートを、もっと身近に感じてもらいたいだけである。

処分したいという人と、恒常的に買っているという人がであったということで、ある種のリサイクルシステムと言えなくもない。

雑誌の表紙の時期が来て、遠近法をバリバリ使った絵などを作って欲しいなどと担当の方に依頼される。

うーん。

最近担当の方が変わり、彼女は、アタシがプロのイラストレーターと勘違いしているのである。

「アタシもねー、まだ発展途上で、何でも依頼通りに描けるということでもないからさー。遠近法はムリよ。とりあえず、描ける作品でガマンしていただくしかないんですけどねー。アタシなりにも、精進はしているつもりですけどねーっ、まだご期待にそえるほどは成長していなくって」

みたいな、強気なのか、弱気なのか、全く解らないような会話。

よく2年も持ってるよなあ。

はぁ。

プロって大変なのね。

絵の幅が狭い作家さんというのは、商業利用になったときに、物凄く困るんじゃないかなと思ったりしながら、イラストを描くわけよ。

人間の才能というのは、そんなに幅広くないということのようだ。

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