◆◆◆ 311 ★ とある市民ミュージアム改革フォーラムに参加する。 ◆◆◆

2005.3.11

この前の、足立区のパブリックコメントに続いて、今度は、とある【市民ミュージアムの改革フォーラム】というのに参加することになる。

お友達のじゅんさんがご紹介してくださったフォーラムで、参加費は2000円。

この手のフォーラムの割りには安い。

市民ミュージアムというのは、どんなものなんだろうとか、ミュージアムは、どんなふうに改革して、どれくらい儲かったのだろうかとか、そういうのを確認するためである。

美術館といったって、国立から、市立、個人、私設というふうに幅広く存在する。

しかし、足立区に、美術館は一つも無い。

一つも無い区というのは珍しい。

台東区なんかには、いくつもの個人美術館があり、ゆかりの作家さんや画家さんの作品を収蔵し、展示している。

しかし、近くにあり、昔からある町なのに、足立区には郷土博物館しかないのである。

郷土博物館の展示物というのは、歴史的価値はあるが、芸術的価値とは違う場所にある。

フォーラムの内容は、

●学芸員のセンセイ、

●大学の教授、

●別な学芸員のセンセイ、

●大学の教授

という順で行われ、それぞれが、こうなっていったという話をするのだが、何をどうやったのかがイマイチ解らない。

学芸員の人も、大学教授も、もっとプレゼンの勉強をして欲しいものである。

人を動かして、収益をあげようという人が、あの程度のプレゼンしかできないのであれば、心動く人も大していないというのは理解できた。

4時間半程度、ヂっと聞いていたのだが、理解できたことがいくつかあった。

この市民ミュージアムは、市が中心となり、美術館を財団化している。

財団法人でありながら、市が予算を立てる。

収益は、収益として計上し、それが、美術館経営に使えるというワケではないという構造上の問題がある。

よーするに、市の財政の考え方と同じということだ。

割り振られた予算は、全部消化しろ。

成功して、収益が上げられても、それは、今後の美術館経営に当てたりはできない。

ということである。

解りにくいので、解りやすく説明しよう。

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アナタが主婦で、パートにでて、小遣いを稼いだとする。

家計はオットの給料で全部まかなう。主婦は、その範囲でなんとかやりくりをし、あまった分で貯金などもして全てを使い果たす。しかし、パートで稼いだ小遣いは、オットに全額没収されてしまうということである。

それは何を意味するのかといえば、それなら、パートに出て働くのはよそうということになる。

よーするに、ヤル気にならないわけよ。

その方式は、美術館にどんな問題をもたらしているのかといえば、学芸員同士の仲が悪くなる。

どうして仲が悪くなるのかといえば、与えられた予算を、それぞれの専門分野ごとに割り振って計画が立てられる。

各学芸員は、スッパリと分けられた、その予算の範囲で、独自に企画をたてて、その範囲で集客し、全額を使い果たそうと尽力を尽くす。

同じミュージアムに、考古学とか、歴史とか、版画とか、マンガ、映像のコーナーがあり、それぞれが、協力して企画をしたり、集客をしたりはしないという結果になっている。

仲の悪さ(表面上でもめているということではなく、意思疎通や、目指している方向がバラバラ)は、プレゼンを交互に聞いただけでも歴然だった。

なるほど、市から予算がおりて、収益が経営に還元されないと、イロイロな問題が起こるものだよなあ。

館長も長い間不在のため、全体をコントロールして、【今年はこちらに予算を多めに配分し、テコ入れしよう】などという話にはならず、それぞれの学芸員が、頑張れるだけ頑張って、自分の取り分を増やそうとするので、仲が悪くなってしまうのだ。

それは、別に、この箱に限ったことではないとアタシには理解できた。

おまけに、施設に金をかけすぎてしまった市などは、残りの運営に金を回せないという事態が起きている。

どういうことかといえば、ゼネコンなんかに、イイように高いものを売られているということである。税金だぜ。

そんでもって、当初の予定を大幅に変更して、結局美術館経営に力が入れられないという実態がある。

おまけに、学芸員の人と、大学のセンセイ方との意見も食い違っている。

大学のセンセイ方は、自治体などに雇われているにも関わらず、直属の上司や館長という立場でもないので、美術館をよくするための、どんなに価値のある提案を投げかけたとしても、改革がうまく行われていないように見受けられる。

これが、一般企業であれば、ボス(とか重役)が、「エイっ」といえば、問答無用で、その方向に一丸となって進むことができる。

もちろん、優先順位の決定方法とか、大きなストラテジーの変更に対して、従業員が、今までの仕事を切り捨てて、新しい方針に進んで行けるような「意思決定の変更」のトレーニングも、定期的に、入社時点から繰り返し行われているからね。

学者筋と、サラリーマンの推進力の違いということか?

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美術大学は、美術館での勤務などをするキュレーター育成の期間に、意思決定の方法や、方向性が変更になったときに、こちらの気持ちを切り替えて、新しい業務に、担当が邁進できるような、精神的なトレーニングも盛り込まなければならないということにも繋がってくる。

特に、学芸さんは、「自分の研究分野」に強い思いがあって、仕事をしているからね。考えを変更するということは、特に難しいだろうということも理解はできるんだけどさ。雇われだし、実態は、公務員みたいなもんだもんね。

公務員の研修と一緒に、意思決定とか、問題解決のセミナーなんかも、受けなければ美術館の成長も無いってことになるよね。

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