◆◆◆ 238 ★ リトカレンダーを作る-3 ◆◆◆

2004.12.1

4版あったカレンダーのうち、最後の薔薇の版を刷る。

どうしても、花びらの一部や背景が汚れてしまい、汚れが消えてくれない。

ハッキリしていることは、汚れた版画は、売れないということである。

売れるか売れないか。

白か黒かということである。

そうして、この薔薇の絵は、全くアタシの薔薇という気がしない。

後ろの四角い模様は多少、アタシっぽい。

自分の絵なのか、それとも、誰にでも描けるような絵なのか。

そういう、モチーフのムズカシさもある。

でも、この道を行くのであれば、絵を見ただけで、アタシの作品だと解るような作品を作るというのを心がけるべきだろう。

鶴田一郎の絵は見間違わない。それが、全部同じ絵に見えてもである。それはそれでなあ。みたいな感はある。

サインなど無くても、アタシにしかかけない絵というのが、必ずあるはずなのだ。

美しく描画された版の一部のシミは、何度も消去を試みたが、とうとう消えてくれなかった。

新しいケシロン(1280エン)を買うか、版を作り直すのか、他の方法をセンセイに聞くのか。

どちらにしたって、たったこれだけのシミがあるだけでも、この版画は失敗ということになり、世に出ることはない。

流通している版画というのは、その位レベルが高いということに他ならず、版画に関わる人たちの、版に対する思いというのが伝わってくる。

そうして、版を作る時間よりも、汚れを消す時間の方が長いことに苛立ってくる。

あ゛ーアタシってば、何しているんだろう。

やっぱ、一枚一枚、手で描いた方がイーんじゃないのかよっ。

白兎さんが拾ったハートストーンが送られてくる。所狭しと並ぶ白兎石。

ハートの石というのは、それぞれに個性があって、カワイイ。中にはカエルに似たのもある。

そうして、この石は、どんな場所にいたんだろうとか、珍しい模様だなどと見ていると、心が和らいでゆく。

石の箱の中に、小さい丸い石が入っていた。顔を描きたくなるような丸い石で、ゴマ塩模様だった。カワイイぜ。

オジャラが一番好きな詩。

額縁屋のオヤジのところに山積みになっていたので、一枚購入。

やっぱ、『いつも』は要らないよーな気がするぜ。

昨日の朝、近所の人が訪ねてくる。ケーブルテレビ足立を見た人だ。

彼は、絵を描く人らしく、絵を見せて欲しいというので、あとりえに展示中の作品を見ていただく。

彼は、短い時間で描いた絵について、質問してきた。『短時間で描かれた絵ってどーなんですかね?』

オジャラ『絵というのは、結果が全てですから。時間は関係ないんじゃないですか?あとは、お客様の予算との相談ですよね。10年かかりましたから、100万円ですと言われても、買える人は少ないですよね。短時間で描かれた作品であっても、作品がまとまっていて、しかも、買えるご予算の範囲で、気に入れば、買おうという人はいるんですよ。どんなにイイ絵であっても、値段が折り合わなかったら、売れるということもないんです。』

そうして、アタシが2時間程度で描いた作品を二人で見る。

男『僕は、この絵を描くのに、きっと一ヶ月以上かかると思います。何度も何度も描き直します。』

アタシ『うーん。それは、描画の力が不足しているからですよ。きっと。アタシも、絵が下手なときには、絵を何度も描きなおしていましたから、もっと時間がかかっていましたけど、今は、全体的な描画の力をアップさせる鍛錬を続けているので、短い時間で目的の線が描けるようになってきたんです。まだこの絵では売れませんけど。アタシも、まだ描画の力が弱いので、書やドローイングを繰り返し、また油絵に戻り、足りないところを確認しているところです。』

などと答え、あとりえ中に展示してある書とか、ドローイングを指差すと、男は

『絵に対する考えをまとめてから、出直してきます』と言って帰っていった。

出直されてもなあ。

絵は、自分で描けるようになるしかない。誰かが自分に代わって描いてくれるというコトは有り得ないからである。

請求書を作る。

アタシの場合、お客様が決まっているということもあり、額も決まっているということもあり、請求書は、何ヶ月分かをまとめて作ってしまう。

絵だって、調子のいいときに、ばばーっと一年分描いて、CDに入れて納品してしまう。

基本的には、絵と請求書一年分セット。みたいな。

また、来年の表紙の絵を描かなくちゃな。師走って、そういう時期なのよね。

仕事を頂くということは、多くの方に見ていただくということに他ならず、『今までと同じような絵にならないように』気を配りつつ、マーケティングからも離れないようにしなければならなず、考えることが沢山あるのである。

そうして、作品というのは一人では全く成長しないのだと気づかされる。見てくださる方がいて、センセイ方や巨匠の優れた作品に触れ、初めて自分の至らなさに気づくのである。

それにしてもあれだよなあ。いくら知り合いとはいえ、何の営業活動もしていないのに、仕事が増えているというのがスゴイよな。(向こうから来た仕事を断れないアタシ。)

おじゃら画廊のHP

Established 1998 Rica's Bar WEB SITE & Since 2003 Atelier Ojara.

Copyright (C) All Rights Reserved by Rica Ojara.