◆◆◆ 236 ★ リトカレンダーを作る ◆◆◆

2004.11.29

随分前に版に描画した、アヴィニオンの猫たちを刷る。

リトの準備というのは、結構面倒で、印刷するのには気合が必要だ。

一体どんな状態なのかを説明すると、

●水を入れたバケツを2個用意

●その他、薬品を入れる小皿とスポンジ各種

●大きいローラー

●ガラスパレット

●下には新聞紙

●乾燥棚の掃除

●紙の準備

という具合である。

とある方からプレゼントしていただいたリト用ローラー。定価44000円だぜ。

去年の年末の3割引のバーゲンで買ったとしたってあーた、30000円はする。

そうして、一年も経ってしまったのだが、やっと、このローラーを使う日が来たのである。

30000円といえば、アタシのF4油絵一枚と同じ値段である。

モノを買うというのは、物凄く簡単な作業だが、それを稼ぎ出すというのは、何て大変なんだろうと、この梱包をほどきながら、世の中の構造について考えさせられる。

とりあえず、アヴィニオンの猫たちの版を印刷する。

リトは、一番初めの印刷は、周囲が手垢などで汚れてしまうのが特徴である。

普通は、印刷したあと、紙の端を切り落とすのだそうだ。

なんだかもったいなくて、切り落としたりは出来ないアタシ。紙が高いのよ。

印刷する版は、プレス機の上に、こんな感じで置かれます。

こちらが、一枚目の印刷。

リト版というのは、この、汚れ部分を、専用薬剤で取り去りながら、印刷を進めてゆくと、版が安定して、短時間に沢山印刷できる印刷技法である。

左下の新聞の文字などが、完全につぶれてしまっている。また、猫のエサの絵も、欠落。

はぁ。

この版の印刷を続けるかどうか迷う。

でもまあ、リトの印刷というのは、一回ポッキリなので、(→アタシの場合っす。念のため)今日しか刷れないということを考慮に入れ、もう少し刷り進めることにする。

一回ポッキリというのは、版の保存が出来ないので、明日以降に刷り増しが出来ないという風に初心者はご理解下さい。

逆に、版の保存から開放される(=初回にしか刷らない)と、リトというのは、物凄く自由になる。

こちらは、3枚目の印刷。

文字の欠落を多少直し、周囲の汚れを取り去る。

遠目では、どんな絵だかイマイチ解らないという所に問題がある。

構図や、濃淡のつけ方が、まだ、下手糞という意味である。

版画というのは、結構近くで見るという部分も無いわけではないが、やはり、カレンダーは遠目でも絵にならないとイカンと反省する。

色塗ったりしてもカワイイかもなあ。

五枚目。

版は、概ね安定し始めている。文字の欠落なんかも、大分汚れを取り去り、イイ感じに仕上がる。『PAPER FOR CAT』と書いてあり、記事は、『全てのネコが望む、いつでも食べたいエサのご紹介』などと続く。^^(→ネコのキモチとして)

この文字の辺りは、どうも崩れがちで、欠落している文字多し。

カレンダーは、販促品で、売る品ではないので、もらった人は、あまり文句を言ったりはしない。

そんなこんなで、まだ習作ということもあり、この程度でご勘弁願おうと思う。

この版は、結局20枚刷る。

最初の一枚と、次のヤツは、明らかに失敗しているので、エディションは18枚となる。

リト版は、全て保管してあるので、こちらの版も、インクを落とさずに乾燥させることにする。

リト版は、3ヶ月も経つと、科学反応が劣化してきて、同じコンディションで印刷ができなくなるらしいので、私は、一日で刷れる分だけ刷り、あとは、版を洗ったりせずに、そのまま乾燥させ保管するということに決めている。

という理由で、版を保管しておいても、再印刷は不可能なのよ。

でも、アルミバンの版は、額に入れたりして展示すると、見栄えがする。

どこかに、●枚印刷済みのマークを入れることにしよう。

(→マジックで書き込むだけだけど。^^)

カレンダー用の版をもう一枚作る。

時間がかかった割りには、イマイチだったよなあ。

顔が長すぎたよな。

天使の髪の毛はハート型に。

頂いた薔薇を髪に飾りつける。

リト版作りは、一発行き当たりバッタリ勝負なので、日頃の描画の鍛錬が試される。

それから、前の版や、印刷の具合を確認しながら、描画の線を整えてゆく。

リトを始めると、銅版画が面倒臭くなる。

それくらい、あっさりと印刷が出来てしまうのだ。

明日は、薔薇と、この女の印刷をしようと思う。

紙代がなあ。

版が大きいと、紙にお金がかかるのだ。

10枚位ずつにすっかな。

それでも刷り増しができないので、出来がイイ版は、15枚位のストックは欲しいよな。まあいいか。こちらの版は、あまり人気が出なさそう。

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