◆◆◆ 229 ★ 切りチョンパの話 ◆◆◆

2004.11.18

我が愛猫は、とうとうその日を迎えてしまう。

600gだった体重は3.4kgとなる。

そうして、推定8ヶ月の彼は、病院に連れて行かれたのだった。

なんでも、前の日の夜から食べ物は控えさせ、当日の朝は、水もあまり飲ませてはいけないのだそうだ。

たぶん、手術の前後などに、糞尿されると、掃除するのが面倒だからだろう。

まあ、デリケートな場所で、傷口が開いちゃう可能性もあるしなあ。

ウチが利用しているのは、鈴木動物病院といって、今ではマルイの至近にある病院である。

工事中の4年間は、本当に大変だったと思う。

センセイは、一人で経営していて、なかなかのやり手だと思う。

獣医というのは、基本的には、人間と同じように動物を診察するわけである。

であるからして、『自分の調子が悪い時には、自分で血液検査をし、薬を飲んでいる』などと話していた。

この前は、400万円もするレーザーメスを買ったのだそうだ。これにより、動物の出血が少なくなり、手術が短時間で終わるようになるのだそうだ。

動物病院もハイテクなのねぇ。

それはそれで驚きのアタシ。

でも、動物も人間もメカニズムは哺乳類なのだ。『病院に行って何時間も待たされるとねぇ』

などと、人間の病院に対する不満まで言われてしまう。

ドクターでもそう思っているのに、日本の病院は、なかなか予約制というのがない。

アメリカは、メールで予約して、待たずに診療を受けられる病院も沢山あるという。

日本は、いつまで経っても先着順。

考えを変えるというのが難しい民族なのかもしれない。

この前眼鏡店で読んだ『ダイヤモンド』なる雑誌には、「『社員の士気が、バブル期のまま』なのに驚いた。」

とライターが書いていた。

サラリーマンの思考は、まだバブル期のままなのか。15年経っても変えられないというのにビックリする。

そうだよなあ。

自分が仕事についてから30年、ずっと売れ続けて、成長を続けてきたのである。

売れない時代に対する経験が皆無なのだ。

そうして、売れなくても、自分の給料すら下がらない会社だってまだある。

あとは、リストラにあわないよう、少し働いている振りをすればいい。

アタシがサラリーマンになって覚えたことは、『仕事をサボル』というコトだけだったのを思い出す。

新入社員のときには、仕事をサボるなんて考えたことも無かったけど、適当に過ごしていても給料は上がってゆくし、そうやってブラブラしている人もイッパイいた。

今思えば、楽な会社だったと思う。

そんなこんなで、ほとんどの人が解雇され、今は、無くなってしまったんだと思う。

自営業の人というのは、自分が稼がなくてはならない。

生きるという事に対して、雇われよりも真剣だし、稼ぐということに貪欲だ。

貪欲というより、柔軟だという方が正しいんだと思う。

『生きていくために、どうすればいいのか?』を考えることが出来、儲からない仕事をやめ、儲かる仕事に方向変換できるということである。

サラリーマンで居続けると、変化を好まず、同じことを繰り返すという傾向が強くなる。

考えを変えずにこれからも生きてゆく。

それが一番楽なんだろう。そうして、そういう人はつまらない。

猫の寝顔というのは人を幸せにする。

彼は毎日ベランダで何時間も過ごし、外に出るチャンスを伺っている。

猫には領土拡大の野心があるからである。

それでも、飼い主に切りチョンパされてしまい、『スプレーしたり、外に出たがるから仕方がない』などという一言で片付けられてしまうのだ。

それでも、飼い主がいる限り、毎日エサは与えられ、眠る場所は何箇所もある生活だ。

雇われている限り、給料がもらえるサラリーマンと似ている。

そうして、個性を発揮したり主張などをしなくなり、『常務のゴーサインがでているから』などと、何の責任も取らない態度で、赤字の企画を押し進め、会社を疲弊させながら、全く危機感すら感じずに生きてゆくその姿は、外に出られない猫のようだと思えてくるのである。

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