◆◆◆ 204 ★ シルバーアクセサリーデザイナーの腎さん ◆◆◆

2004.10.13

作品の画像掲載は、kenさんの許可を得ています。

近所に住んでいる腎さんがあとりえを訪ねてくれた。

年若の男性が向こうから訪ねてくれるというのは悪くない。

何分、俳句のお友達は20歳以上も年上という人が中心で、この前は40歳も年が違う殿方が訪ねてくれて、『しかも4割はオカマかも』と疑われて、怖いもの見たさという感じで確認に来る人続出だからである。

腎さんは、シルバーアクセサリーを自分で作ってネットで販売しようという野心家で物凄く頑張ってコンテンツを作っている。

アタシは、HP作りが長いので、見ただけで、どれくらい頑張っているのかが解る。

アタシのページなど、全く金を稼げるレベルではないという話である。

腎さんは、物凄い強面のくせに、シルバーはジャラジャラ身につけているし、ピアスだし、ブーツだし状態でウチにやってきた。

オジャラは大学時代バンドをやっていたので、モヒカン君とも仲良くなれるのよ。オホホホホ。

あとりえにピアスをした殿方が来たのは初めてかもなあ。

コーヒーなどを出し、彼の作品を見せていただく。

おおっ。

『これ、自分でデザインしたの?』

アタシは、その筋の品物はバリで大量に見ているが、なかなか力強い、グッドなムード。

彼は、自転車操業なので、材料を買う金が無くて、制作活動がままならないのだそうである。作ると売れてしまうということのようだ。

しかしながら、ネットでモノを売るのは大変だ。

二人して、『ネットではモノは販売できない』

みたいな話で盛り上がる。

有名ブランドだとバンバン売れるのにみたいな。

売れない話で盛り上がってもなあ。

それでも、HPから雑誌の取材がきて、専門誌に掲載されたのを見せてくれる。おおっ。こんなマニアな雑誌、はじめてみたぜ。

ざっくばらんに話しが進み、お互いに大分慣れた頃、彼の日記を読むと、ちゃんとした作品が作れるのにぐうたら過ごしているみたいなので、

『金の話で作品作りができないなら、新しいデザインでも考えたらどうだ?』

などと、アタシにカツを入れられてしまう。

オジャラは、嫌な事を本人に言う女なのである。

『新しいデザインが思い浮かばないんですよ』

みたいな話になる。

昔のアクセサリーの図案の模写はしているらしいのだが、人の作品の模写というのは、物凄く退屈なのだ。

そうだろう。

そんなことをしているウチは、人と違う作品など作れない。

そんでもって、アタシが、どうしてこんなに大量に作品を作り続けられるのかというヒミツを教えてあげる。

いやーん、門外不出の極秘情報なのに(→ウソ)。

それから、展示してある『I女子』のイカしたデザインの版画を見せて、アタシも顕微鏡を買ってしまった話をする。

そのあと、実際、彼女がどういう作業をしているのか、そこいらに散らばっている品で実演してあげる。

彼は、メチャクチャ感激して、

『ノウミソがピキっとキマシタ』

などという感想を漏らす。

そうだよ。『ノウミソがピキ』だよねー。

アタシも実演したのは初めてだが、ピキっときたもの。(爆)

これ、イケてるわぁ。

抽象に入るときには、アタシもこの方法を使おうみたいな。

パクリかよ。・・・・。

アーティストと会うと、物凄く刺激になっていい。

彼はアタシの素描を見て、『どうやってこんな線が描けるようになるんっすか?』(ピアス敬語)という話になり、そこまで行く過程を見せる。

『ひたすら描くしかないわね。』

という感じで、もう書けるのに、何故デッサン(クロッキー)を続けるのかという話にもなる。

『アタシもね、描いたことなかったときには、何でそれが必要かはわからなかったんだけどね「クロッキーや花や貝殻を大量に描くと、絵がうまくなる」と教えてくれた人がいたのよ。偶然、近くで安価にクロッキーが出来る環境にいたし、理由が解らなかったけど、続けることにしてみたのよ・・・・。』みたいな、バリ島で絵を描き始めた話を延々とする。

彼は、彼女をモデルに、クロッキーに挑戦することに決めたようだった。

『何故必要か』は理解できないが、『絵は上手くなりたい』のである。

アタシが彼のヌード作品を手に入れる日は近い。

地道な収集活動だわあ。

ついでに彼女、アタシのモデルもやってくれないかなあ。

その後に、ピカソ顔の竜さんの肖像画を見た彼は、『この絵は誰にでも描ける絵じゃないっす』

などと話すので、

『キュビズムっていうのはね、難しく考えちゃダメなの。基本的な所を教えてあげるからね。』

といい、目の前で彼の顔を展開してゆく。

『どうよ。こんな感じなのよね』

みたいな。

その辺りにあるモチーフを、自分でキュビズムに展開できると、作品の幅が広がってゆく。

彼は、コミックの学校に通っていたことがあるので、説明するのはカンタンだった。『マンガと同じよぉ。』みたいな。

腎『オレって、こんな目つき悪いっすか?』

オジャラ『そうね。かなり似てると思うけど』みたいな。

サラサラ描けると便利だぜ。

そうして、彼の格調高い白と黒のコントラストの作品には、この技法は応用できると言う話になる。

シルバーアクセサリーって、白と黒のコントラストにグレーの濃淡なのかぁ。版画と同じだなあ。

アタシは、版画を作るので、画面の濃淡や、コントラストというのにはいつも気を遣っている。(そのワリにはまだ、結果になっていないのだが)

シルバーも作ってみたいなあ。(バリ島時代からの課題)

そんでもって、マツオバショウの句が、シルバーアクセに刻み込まれた作品を売っている人がいるという話になる。

『芭蕉ではパクリになるので、山頭火で勝負しろ』などと、自由律俳句のテキストを強引に渡す。

若い人が来ると、俳句の布教を忘れないアタシ。

なんか、強引な展開じゃない?

彼は、俳句には全く興味がなさげだったが、オジャラが、どういう絵が売れるのかという基本的な考えを教えてあげる。(これは、収集家の方が教えてくれました。)

そうして、アタシは『映像を記憶する能力の鍛錬に、俳句を使っている』と言う話で彼を引き込んでゆく。

物凄く高い理解力で、彼は、俳句の本質を理解し、山頭火の句から、映像を思い浮かべることが出来るようになっていった。(10分程度の説明)

そうして、その映像をシルバーのデザインに展開してみたらどうだという話にまで発展する。

物凄い強引な展開だぜ。

もう外は暗くなり、彼は、『ノウミソをピキピキ』させながら、山頭火のテキストを持たされて帰っていった。

オジャラの勝ち。

今度は、甘いものじゃなくて、安い赤ワイン(イタリア辛口)にしてくれる?

ま、これだけ教えてあげれば、彼も投資額を回収できただろう。うふふふふ。

腎さんは『新作が出来たら持ってきます』などといい帰って行く。ヨシヨシ。

まず、新作を一個作る。

芸術家であるのであれば、必ずここに戻らなければならない。

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