◆◆◆ 2312 ★ テレビ収録-3 ◆◆◆
個人的な感想にはコメントの前に*印
10月14日 祝・しゃぼんだまあおいそら、FBからの転記終了。これから、正常モードに戻るんでしょうか?なるべく、本音のところはこちらに書こうと思います。読者の皆様、お楽しみに。 ------------------------ テレビ局の人がまた来る。 といっても、いつも来るのは一人という低予算。 タレントさんが来るということでもないしね。 気楽でいい。キンチョーもしなくなったし。 最近は、ムービーも、スマホなんかについてるからね。みんなテレビ慣れしてるんだろうと思うと、それはそれで、現代的な気持ちになる。 テレビの男は、アタシの、現代的な作品をもう少し撮影したいと申し出てくる。 そうして、散らかった机の上の山などから、アタシがいくつか、作品を取り出して、説明を始める。 おじゃら「現代的な作品は、まだ、対して発表してないのよね。」 テレビ「どうしてですか?」 おじゃら「見栄えがショボイしね、廃材だったりするし。」 |
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テレビ「現代アートっていうのは、そもそも何なんですか?」 おじゃら「アタシなりの解釈をすれば、まあ、表現の自由度への挑戦ってところかしらね。」 私は、マルセル・デュシャンと、泉(男性の小便器を横向きに置いてサインを入れた作品) の写真を彼に見せる。 「この便器はね、マルセル・デュシャンという人が、便器を横に置いて、サインをして作品として発表をした作品なの。 この作品は、現代アーティストに最も影響を与えた作品の第一位。 二位が、ピカソのアヴィニオンの娘なのよ。」 テレビ「どうして、この作品が、第一位なんですか?」 おじゃら「(この作品の評価のポイントは)表現の自由度とアタシは理解しているの。今までだれもしていない表現で、アート界に、新しい価値を創造したということね。」 |
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テレビ「でも、便器なんですよね。」 おじゃら「この作品はね、11億円ぐらいするの。今は、ニューヨークのメトロポリタンをはじめ、60個ぐらいあって、世界中の現代美術館に点在しているらしいよ。大分儲けたわね。あはは。」 テレビ「へぇ。そんなに高いんですか。でもどうしてですか。」 おじゃら「そこなのよ。そう、『なんでこれが?』という、見た人の、心のモヤモヤがね現代芸術なの。」 *正しい表現をすれば、作家と、観るものの価値の差が大きければ大きいほど、それは、見る側が驚くということになる。驚けば記憶に深くのこり、モヤモヤも残り続ける。 |
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おじゃら「現代美術の方向っていうのはね、大体、三つに分かれるの。 一つは、コンセプチャルアートっていってね、作品について、くどくど1時間ぐらい説明してね、それを映像で流したりするやつ。 もう一つは、ミニマルといって、創作を限りなく排除するタイプ。説明なんかもしないの。 最後の一つは、結構巨大なものを、大勢に参加させて、みんなを巻き込んで作るタイプの作品。その三つが中心になってるわね。」 テレビ「おじゃらさんのは、ミニマルなんですね」 おじゃら「まあ、そういうことになるわね。おほほほ。」 テレビ「どうしてミニマルなんですか?」 おじゃら「くどくど説明して、内容を理解してもらうより、何も説明しないで、見た人に何事かを考えてもらうへうが楽じゃない。何百時間もかけた作品と、数秒で作った作品が同じ価値だとしたら、数秒のほうが儲かるでしょ。」 テレビ「・・・・・・」 アタシは、自分のいくつかの作品も見せる。 おじゃら「現代芸術の間口はね、『見た人をビックリさせる』ってところにあるわけでしょ。最終的には、見たものの記憶に深く残り続ける」 ここがゴールなの。 作品としての記憶が、見た人の中に残り続けること。それが、作品の力である。 便器が11億円と聞けば、誰だってその話を忘れない。 作品そのものの意味とか、作品のコンセプトとか、ぶっちゃけ、そういうことをどんなに説明したって、全く記憶に残らない作品だらけである。 そういう中で、作るというものをほとんど排除して、さらに、記憶に残るという作品への挑戦は、アタシに向いていると思う。 |
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テレビ「ここ、随分散らかっていますけど、掃除とかしないんですか?」 おじゃら「掃除はしてるわよー。掃除してるとさ、絵の材料が出てくるでしょ。そうすると作り始めちゃうじゃない。そんでもって、結局作品はいつの間にかできているし、夜になってるのよ。」 机の上には、アタシの不毛なる作品が並べられた。私は、「本を読む女」と「マウス如来様」を並べて おじゃら「ね、マウス如来様の方が、記憶に残るでしょ。こんな、本を読む女の造形なんて、いくら美しくたって、何も覚えちゃいないのよ。」 記憶に残らなければ、それは、現代アートではない。 見ても見ても、便器程、記憶に残る作品なんて、見たことはないのである。
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