◆◆◆ 138 ★ 切り貼り絵を作る ◆◆◆

2004.5.31

手術が終わって、片目が眼帯なもんで、また、切り貼り絵を復活する。

『片目で出来るアートDAY』という感じ。

スティックノリは一日に一本位を消費。

ノリをつけるのに、電車で拾ってきたマンガを利用。

時々読んだりもする。

紙面がノリでベタベタしてきたら、次のページに進めるので、作品を極力汚さないで済むのである。

作業中は、イロイロな紙の色が机の上に広がって、かなりキレイ。

作業姿勢としては、とりあえず、使いかけの紙で作ろうとする傾向が強いみたいで、なんとなく、色的に物足りない作品も多い。

紙はイッパイあるんだから、新しいのもジャンジャン使えばいいんだけどね。

ま、性格的な問題だろう。

そうして、台紙にしているスケッチブックを切り取った残りのギザギザとか、小さすぎて、他の作品に使えないような切りカスなんかを、これまた使えないグレーの紙に貼り付けてみる。

どんどんと貼り付けてゆく。

どーよ。この作品は。んー、ゲージツ的。

アタシは、この作品を作りながら、『絵の価値が解らない』と話していたドクターのことを思い出す。

『絵の価値』て何なんだ。

左の作品に価値なんてない。

タダだって要らないぜ。

猫が死んだ後、気分転換にオットと鎌倉に行く。

そのときに、『鏑木清方美術館』なる展覧会を見に行き、画集を一冊買ってくる。

『価値ある絵』(=高値で売買される絵)というのは、彼の描いたような、質の高い絵に限られるということである。

質の高い絵というのは、膨大なスケッチなどを積み重ねた人が描いた、洗練されて、完成度の高い絵ということだ。

それ以外のアートの価値は、余り高くないもしくは、皆無ということである。

理由は、結果に明らかな差があるということに他ならない。

清方の日本画の、瞬間を捉えた、なんと美しい作品群なんだろう。なんて美しい色彩なんだろう。

同じ油絵であっても、誰が描いたのかによって、完成度は全く違う。

同じ人が描いたとしたって、完成度には差ができる。

急いで描けば、雑になるし、気分が乗らないときに描けば、作品は輝かない。

絵の価値を複雑にしているのは、優れた作品以外にも、高値で販売されている品というのがあるからだと思う。

お客様は混乱しているということだ。

アタシ的に言わせていただくと、『絵の事は全く解らない』という人の多くは、『絵の良し悪しは理解できている』と感じている。

だけど、『価格的に折り合っていない』

ということなのだと思う。

例えば、アタシの絵を見に来てくださった人だって、全員が、ある中で一番イイ作品を選んでゆく。

それは、間違いない。

何度も何度もそういう現実に出くわすと、『絵の価値が解らない』というのは誤りだと思う。

絵をはじめて買う人であっても、良く出来た作品というのは、理解できていて、それを選ぶことができるのである。

東京に暮らしていれば、雑誌くらい見る。

雑誌の取り扱い点数の多さといえば、驚かされる。一冊で1000点以上のバッグや時計や靴を見なければならない雑誌も少なくない。

街を歩いたって、ショッピングに行ったって、何万個もの商品の前を通り過ぎなければ歩けない。

それくらいの情報量の中に住んでいると、商品の価値も、自然と理解できているということなのだと思う。

もし、『絵の価値が解らない』のだとすれば、それは、

●解ろうとしていない

●他の品物を買うことでアタマがイッパイ

●忙しくて、絵など見ていられない

ということなんだと思う。

アタシも、サラリーマン時代には、全く絵など見たりしなかった。

正確には、美術館が混み過ぎていて、ちゃんと見れなかったという感じ。バブルでどこも激混みだったぜ。

見たとすれば、画集かなんかかなあ。

あの時は金があったので、お高い画集を年に何冊も買っていたもんなぁ。

毎日忙しかったし、残業してたし、仕事の勉強で、絵など見て歩く余裕もなかったもの。

サラリーマンをしていれば、みんな、そうなのかもしれない。

そうこうしているうちに、『絵のことは解らない』し、『今更人に聞いたりできないし』、『特に買う必要も感じない』

ということなんだと思う。

複製画ばかりを売ってきた額縁屋のオヤジも、三ヶ月赤字で、廃業すると言っていたしなあ。

最近は、ホンモノ志向だからね、複製画だけを扱っているというのが間違いなんだけどね。

それでも、一点一万円の額付き量産油絵も、さすがにお客様が飽きてきたのか、赤字続きなのだそう。あの絵には、金を出す気になれないもの。

今まで蓄えてきたモノを持ち出してまで続けることもないし、この先ずっと赤字という可能性すらあるから、廃業しようかという話らしい。

不景気で、絵など売れる気がしない。

Established 1998 Rica's Bar WEB SITE & Since 2003 Atelier Ojara.
Copyright (C) All Rights Reserved by Rica Ojara.