◆◆◆ メゾチントで缶バッジ用の版を作る ◆◆◆

メゾチントの版の作り方って、まだご紹介していなかったと思います。

前は、目立てしたアルミの版を使って、メゾチントにいきなり入りましたけど、

今回は、目立てを行います。

メゾチントというのは、ツルツルの銅版を一旦ギザギザにさせて黒くして、

そのあと、スプーンのような道具(バニッシャー)で、面を潰して絵を描く技法っす。

なんかムダのような気がしない?

2002.6記

これは、画材店で買った円形の銅版。カワイイぜ。

この品には、ビニールコーティングがされていたのに気づかずに、版作りを進めてしまったアタシ。

大分刷った後で、刷り上りにムラがあるなと思ったら、ビニールがポロポロと剥がれてきました。

このタイプの銅版で版画を作る方は、最初にビニールを取ってから作りましょう。

メゾチントというのは、普通、『ベルソー』などと呼ばれる、ギロチンみたいな道具で銅版に傷をつけて真っ黒くしてゆくのですが、アタシは『メゾ派』ではないので、持ってません。

ベルソーは高くて買えない品物っす。

仕方がないのでルーレットを使って、銅版の面を真っ黒にします。

この段階で一回刷ってみます。

バッヂは、中央3センチしか見えないで、残りの部分は隠れますので、中央重視で黒い部分を作っています。

『メゾチント』は、まず銅版に傷をつけて、黒い(ギザギザ)面を作ってから、今度は、白い面を作る為に、面を作ってゆくという版画です。

腐食液を使わずに作れるし、黒い面が多いと作品に迫力が出るので、好んで作っていらっしゃる作家さんは多いです。

アタシは、『白いモノ』を『一回黒くして』更に『もう一度白い部分を作る』という行為がムダに思えてしまい、滅多に作ったりはしません。

道具を持っていないということもありますけど、この作業はメチャクチャ肩コります。

でも、作り出すと止められない、魔法のような力もあるのです。

なんか、もっと真っ黒くなる予定だったんっすけど、ルーレットだと凹凸が浅く、黒さがイマイチ足りないので、お教室でセンセが探していたカッターナイフで更に、縦横斜めに溝を作ってゆきます。

センセイ『うーん、ベルソー無いのか。仕方ないから、カッターナイフを使ってみましょうか。』

みたいに、あるものは何でも使われてしまうお教室は、かなりおおぐくりっす。

アタシの今回の重大な失敗は、この時点ではまだビニール幕がかかっていて、アタシは、ビニールに、目立てをしていたということになります。

うひょーっ。どーなるんだろう。

カッターナイフで、真っ直ぐな筋を銅版に入れるのに、不要な銅版を使うアタシ。

カッターナイフで溝を作った版。

ビニールなので、なんだかポロポロと一部が剥がれてきています。

気づかずに作業が続行していますが、『あんなに軽い筋を入れただけで、こんなに凸凹するなんて、なんかスゴイぜ。』と、面を触ったアタシは、そのデコボコ感に、かなり感動気味でした。

スプーンというより、耳かきだよなあ。

センセイは、バニッシャーも自分で作るとおっしゃってました。『道具を作るというのが、また制作の楽しみですよねー。ウンウン。』みたいな。

真のオタクだわぁ。

でも、このバニッシャーは、お安いので、どうも銅の潰れ具合が納得行かないのよねぇ。

そうして、中央に、『入魂』してみます。

バニッシャーで、白い色を出したいところを丁寧に潰して、ツルツルにしてゆきます。

今回は、小さいハート模様っす。

こういう小さい版画は、あまり凝らないでシンプルに行くほうがいいっすね。

メゾチントのバッジというのは、珍しいので、キャップやバッグなどにつけていると、版画専門の画廊とか、バッタリ会った収集家のお友達なんかにも、かなり自慢できます。たはは。(エディション入り)

ビニール面はかなり深くまでインクが入り、しかも、所々潰れてしまうので、ビミョーなムラができて、これはこれでレアなマチエールになりました。(失敗のくせにっ。)

そうして、ビニールがついたまま、気づかずに、9枚も刷り上げてしまうアタシ。

そうして、刷り上りがあまりにも不安定なので、よーく見たら、端っこのビニールが剥がれてきていました。

ゲゲっ。

マジっすか?

どーしよう。センセイっ、こういう場合、エディションは、どうなるんっすか?

一応、こちらはバッジにはせず、『step1 1/9』などという、最初の工程の、9枚目のうちの一枚などというエディションにしようと思います。出来にムラがあり、なんか納得いかないっす。またもや失敗のアタシ。やっぱ処分したほーがイイんだろうか?でもまあ、おまけだしなあ。みたいな。

今回は、ブレダン233gを利用しています。

このままでも十分カワイイっす。

そんでもって、版が丸いので、どうも版の位置が適度に曲がってしまっているようです。

やっぱ、上下のトンボはいるかもなあ。

アタシ的には、丸く切り取って使う予定なんで細かい事あまり気にしないで刷ってますけど、版画芸術ともなると、上下左右も重要なのかしらん?

シートで欲しいという人もいるかもしれないしなあ。

どーなるんだろう。

カッターナイフで筋を入れた部分は、奥までビニールが入り込んでしまい、なかなか取れない状態。

紙やすりや爪などを使い剥ぎ取ります。

そんでもって、もう一回ルーレットで目立て(面を黒くすること)して印刷。

こんな感じっす。

バッジにすると、カッターで目立てしたところはほとんど描く照れてしまうのが残念っす。

フツーメゾチントというのは、銅版全体を真っ黒くなるまで、筋を引いてゆきます。この作業にものすごく時間がかかるとのことです。(疲)

さすが、おフランスのインクは色がキレイっすね。

ハートマークを少し調整して完成っす。

何故か、この丸い銅版、バッジのサイズにピッタシなんっすよね。世の中うまくできているっす。

バッジは、余りにも人気があるため、いくつ作るのか全く未定っす。

バッジ不似合いなおとーさんがつけてると、『このバッジは、何なんですか?』などと、ゼッタイに聞かれますね。