◆◆◆ 販売する作品の扱い ◆◆◆

アトリエに来てくださる方には、3パターンあります。

●絵を見に来る

●絵を買いに来る

●その他

2002.5記

そういえば、この作品をパソコンの壁紙に使って、恋を成就させた人がいた。

マジっすか?

前号では、自分の思い出作りのために、銅版画のアルバムというのを作りました。

アルバムには、自分の作品保管のために、新作を時系列で、どんどん追加してゆく予定です。

保管用のアルバムを作らないと、いつの間にか、人気のある作品だけ手を離れていってしまい、印刷見本でさえ無くなっている場合が多いです。

印刷見本がないと、何が起こるかというと、どんな版画だったか、タイトルだけでは思い出せなくなくなるのです。

作家なので、印刷見本の他に、きちんとした紙に刷った、サイン入りの版画というのを、1枚は、必ず自分の手元に残すという作業をしておくことはとても重要です。

昔の版画を印刷するという作業は、とても面倒だからです。

新作を作ったら、1枚は、印刷サンプル、1枚は、自分の所蔵品、1枚は販売見本用として、最低3枚は、本刷りをしておきましょう。

この作品は、辛いとき、頑張れるらしい。

そうして、自分の所蔵品の管理や整理が終わったら、やっと、販売用の作品を手がけることにします。

版画というのは、そんなに売れるものでもありませんけど、全く売れないということでもありません。

アタシは、勉強のために、自分でも何枚か版画を買いました。

ギャラリーで買うこともあれば、ネットで買うこともあります。

作品を買うという作業は、思いのほか勉強になることが沢山ありました。

当然に、版画を買うに当たって、こちらでも、イロイロなことをチェックします。

やはり、気になるのは、どのような状態で送られてくるのかです。

この作品を見て、版画の大量注文をいただいたことがあった。

うーむ。

作品にとって一番大切なのは、

『折れていない』『汚れていない』の二点です。

版画の場合、制作工程で汚れてしまう場合もあるのですが、それは、見れば解ります。

通常、所有者や、見た人が、手垢などで汚してしまうというのが一番困るのです。

ちゃんとした画廊から買うと、(それはネットであっても)

●薄いベニヤとか、厚いダンボールなどに2重に包まれている。

●更に、版画は、ロール紙などの薄い紙に包まれている。

●ほとんどの場合、その場では持ち帰れない。

●展示即買できるような場所では、強固な梱包はあまり期待できない。(持ち帰る途中で折れてしまう可能性もあるということ)

ということを経験しました。

送料ひとつにしても、対応はイロイロです。画廊によって、送料サービスしますとか、着払いにしますとか、500円ですなどと、対応がマチマチなんですけど、こういう、送料ごときの対応でも、画廊の格というのが現れてしまい笑えます。

送料ごときで、アタシのようなシロウトに『格』付けされてしまうのですからねぇ。

この作品は、絵手紙ですけど、絵手紙も、版画紙に描いていることが多いので、扱いは同じっす。

ビニールに個装するという作業は、作品の劣化を防ぐとともに、汚れも防いでくれます。

アート初心者の人は、ピンなどで、このまま壁に飾る人も多いのです。

ビニールに入れてあると、ビニールのまま作品をピンで留めますので、長期に飾っても汚れないで済みます。

版画の作家さんたちが、版画をどのように保存しているのかといえば、普通は作品ごとに、ロール紙などに包んで、冷暗所に保管しているのだそうです。

この方法だと、よっぽどきちんとした場所に収納しないと、カビはえるんじゃないかなと思ったりします。

だから、銅版画の場合、余り、ストックを持たないってこともあるんだと思います。

アタシ的には、バリ島にいたこともあって、作品が、空気や湿気で酸化して、劣化したり、カビが生えたりするのを防ぎたかったということもあり、当時から、ビニールに個装していました。

バリ島の湿気ときたら、家電製品が、全部ダメになるくらい、物凄いのです。それを避けるには、ビニールに入れ、更に、プラスチックのケースなどに乾燥剤を入れて収納しておきます。これで、かなりグッドなコンディションを保てます。

一個一個、版画のサイズのセロファンビニールに包み、密閉します。

この方法だと、見たい方が、版画を手にとって見れるし、汚れないし、机の上なんかに並べて自分の気に入った作品を選ぶこともできます。

お値段安いんで、この程度の管理でもクレームがでたことはありません。

ポストカードに印刷した版画、巨匠の作品と並べて飾ったりしないですから。

拾ってきた箱をペンキで塗りました。

版画は、ビニールに包んだ状態で、展示用の箱に入れています。

この箱の中のバインダーには、それぞれのサイズの版画が、種類ごとに分類されています。

理由は、イロイロな方がアタシの目の前で、銅版画を選ぶ様子を観察していると、ほとんどの人が、同じ種類の版画を『ゴチャ混ぜの箱』の中から選び出し、全て並べ、どれにするのかを選ぶということが解ったからです。

それであれば、版ごとに分類されているほうが、効率がいいのです。

ある人は、エディションの番号が7番だからという理由で選び、ある人は、この刷りの感じが、こっちより好きだからという理由で選んでゆきます。

選択理由は、個々により、全く違います。

アタシの場合、色が何色かある場合もあり、そういうときにも、『ブルーが好きだから』とか、『紫がキレイだから』などという選択理由をアタシにも説明してくださるので助かります。^^

この作品だけ、版を紛失。

何でだよぉ。

特に、版画を見たいというお客様には特徴があります。

パソコンを使えない人を除いて、全員が、アタシのHPを見てくるのです。

そんで、それぞれに、目をつけている品というのがあるみたいっす。

たとえば、左のような、色付版画を見ていた場合、『色ついたのは無いの?』などと聞いてくるのです。

そんでもって、ストックが無いといち早く諦め、他の作品に流れてゆきます。

ストックは思いのほか重要っす。

大量にある作品郡の中から目をつけていた作品を見つけ出し、更にストックがあると、ファイルから全部取り出して、並べて、気に入ったのを選び始めます。

アタシは、アタシなりに、一番よく出来たのをオススメするのですが、選ぶほうは、アタシのリコメンドを選択するとは限らないっす。(謎だわぁ)

アタシの性格が理解できていると、『色も塗って欲しい』などと更に申し出てきます。

この作品は大人気。カワイイぜ。

今までの観察をまとめてみると、

●作者所蔵用のファイル

●販売中の作品郡

というのを、どちらを見るのか、来た方に決めていただき、好きな方を勝手に見ていただく。

というのがいいようである。

殿方の場合、『猫には全く興味が無い』とわざわざ申し出てくれる場合が多い。

逆に、ウチには、猫好きの方も多く集っていて、『猫にだけ反応する人』というのもいる。

『元気系・人物系』を探しているというカテゴリーもある。

そんなもんで、販売用のファイルは、カテゴリー別にファイルを作って、数枚ずつ入れておくというのがいいんじゃないかと思う。

『この版を刷り増して、後で送って欲しい』などという人は、今までも一人もいなかった。

全員が、今日持ち帰りたいのである。

アタシ的にも、出来の悪いのは、できれば、同じテーマの新作を作り、古いのはもう作りたくないのである。(作っていてアタマに来るのよ)

ある意味、全部出来が悪いので、昔のはとりあえず整理するだけして、そのまま凍結しようかとさえ思う。

でも、わざわざアトリエに足を運んでくださる方というのは、出来の良し悪しとは別に、『このメッセージが好き』などという、ワケの解らない理由で作品を購入してゆく人も少なくなく、購入の動機というのは奥深い。

アタシとしては、折角印刷した作品だし、ストックもあるのが多いし、それを、金を出して欲しいと言われれば、『どうぞどうぞ』というのが筋というものだと思う。

最近は、アタシの絵を見て勝手に元気になる人増殖中。読者教育は大事だぜ。